SS アイニャンの冒険3 ワールドザワールド
あらすじ
愛娘(アイニャン)達は、地下世界の隣にあるバイワールドの迷宮世界に旅立つ。冒険者アイの養い親の悪意の女神を探すために転移したがバケモノに襲われる。
集まってきた人型のモンスターは、醜悪でハゲちらかした
小太りだ。その上に首がなくて頭が胴体にめりこんでいる。
「うざぃぃぃ」
月牙産(げつがさん)を使って間合いに入った奴を切り刻む
地面が血で塗れて転びそう。
冒険者のアイを横目で見ると、彼も直剣を使って倒していた。
「なかなかやるじゃん」
でも女神候補のヒサギは何も出来てない
あんなのが候補なの?やばいんじゃないの女神世界。
襲撃が一息つくとアイとヒサギを連れて移動する。
「どこ行くんです?」ヒサギが血を見て顔色が悪そうに
なりながら聞いてきた
「情報屋よ」
迷宮世界と言ってもガチの三次元迷路ばかりでは無い
地下世界の住人と交易するくらいに友好的な奴らもいる
私はそいつらを情報屋と呼んでいる
元は師匠様から紹介された
一階層目は、まだ比較的に平坦で通路も複雑ではない。
とりわけ大きな空洞の中にある街はかなり安全だ。
ちなみに迷宮世界には空はない。
上を見上げれば天井だ。
どんなに高くても天井はある。
じめじめした路地を抜けてぐねぐね迷路を通り抜けると
目的の場所に着いた。
石組みの壁と木製の粗末なドアを足で蹴る。
「開けて、愛娘(アイニャン)よ」
しばらくするとドアの横にある細いスキマから目が覗く
私も目を近づけると、ドアが少しだけ開いた
中に入ると
「教えて欲しい事があるんだけど」と情報屋を睨む。
「・・・報酬はなんだ?」
背が低く猫背で直毛の髪は腰まである長さで顔が見えない。
うーん、なんかの蟲かこいつ。
「報酬が必要ならお金は少しありますよ」
アイが横から口出すが、片手で制すると
「私の小指よ」
情報屋は、そわそわしだすと「何が聞きたい」と聞いてきた
「迷宮で居なくなった女神の場所」
と簡潔に話すと情報屋は、少し考えている
沈黙が長い
まだ考えている
「いつまで待たせるの?」プンスカ怒って見せる。
「場所は判るが、お前らじゃ、いけないぞ」
はぁー?何を言ってるのよこいつ
無敵の愛娘(アイニャン)様がいけない場所とか無いわ。
「最深部の牛鬼に捕らえられている」
情報屋はそれだけ言うと、両手を出して報酬を要求した
私は左手の小指を噛むと食いちぎって、やつの手に吐き出す。
嬉しそうに指をしゃぶる情報屋を置いて外に出た。
ヒサギが心配そうに「指を癒やさないと」と手を取ろうとする
「いいわよ後で生えてくる」
アイが「指が生えるんですか?」と驚いている
「地下世界の住人は半獣も居るの、獣に変化できるの。
体の構成を即座に変化できるパワーがあるんだから
指くらいは再生できる」
まったくあの変態野郎に、指を渡すのは気分が悪いが
こんな場所から速く出たい
「牛鬼という人とは会えるんですか?」ヒサギは心配そうだ
そこが問題だ、最深部まで行く手段と牛鬼から人質を助ける
方法を考えないといけない。
「あーうん、そうねまず最深部まで行くわね」
いつもの通りに出たとこ勝負だ。
続く