怪談 彼の罪 【てるてる坊主のラブレター】#毎週ショートショートnoteの応募用(600文字くらい)
夕暮れになると弟を思いだす。警察は自殺で処理した。
だから私は復讐する。
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「また死んだよ」
幼なじみの彼氏がうつろな眼をして私を見る。同い年の遊び友達は、みな死んだ。
「どうしてだよ、なんで死ぬんだよ」
死体は異様で頭からシーツをかぶって血まみれになって吊るされていた。警察が警戒していても納屋や庭の木で吊るされた。
「ねぇ、弟が死んでから事件が始まった……」
「……お前の弟は関係ない」
おびえた彼は、飢えた眼で私を見る。生存本能だ、死が近いから女を抱きたい。私を押し倒すともどかしげに下着に触れた。
「ねぇ、神社で何があったの……」
手がぴたりと止まり震えている。
「なんか汚いモノがぶら下がっていたから、ちぎった」
「神社にあったの?」
「汚れていたけど……てるてる坊主だ」
彼らは遊び半分で禁忌の場所に入り込み、てるてる坊主を引きちぎった。祟りなのはすぐ判る。
「弟に何をしたの?」
「こわくなって、お前の弟に押しつけたんだよ!」
無理に下着を引きちぎるように脱がした。そこには何もない、足もない、股間もない、真っ黒な闇だけだ。
「あなたが最後ね」
薄汚れた布が彼の頭にかぶさると、キリキリと荒縄でしめ上げる。顔から血が吹き出た。
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「またですか」
「今度は少女か……」
神社の木で首を吊った少女が笑っている。彼女は手紙を握っている。「てるてる坊主のラブレター」と書かれた紙には『復讐』の文字があるばかり。
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