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SS アイニャンの冒険10(終) ワールドザワールド

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あらすじ
迷宮世界の最下層のボスは悪意の女神だった
決戦が始まる

ヒサギが
「まってください、大地の女神様から依頼です」
必死に訴えるが、悪意(ワルワル)の女神は睨むと
「半人前が、お前が居なければアイは、ここまで来ない」
女神がヒサギを指さすとメタモルフォーゼが始まる
ヒサギが光輝くと小さな花になる。
宮殿の床にポトンと落ちた。

「ヒサギ!」
アイは花に向かって走る、そこに牛鬼が襲いかかる。

「なんで、なんで、なんで、なんで」
私は混乱した、私においしい朝食を作った、私を助けた
彼女はちょっとだけど一緒に居た大事な子供だ
なんで?

体の芯が熱くなると、神通力で体のチャクラが回転する
今まで回った事が無かった、いくら修行をしても使えなかった
何個も回転する、体中のチャクラが回転する
体が激アツ

「剛力招来(ごうりきしょうらい)!」

吠えるように叫ぶと、体が膨れて何倍も大きく大きく大きく
屋根を突き破り天守閣の屋根瓦を爆砕した。
前足を高く上げると、牛鬼を踏み潰す
腐った果物を踏んだ気分だ
血まみれの前足を見て

「きもい」

その前足で悪意の女神を踏んづけた
けど、女神は私の前足を受け止めると、つかんで私を振り回す
何回転もすると巨大な柱に叩きつけられた

「イタイィィィィ」

そして床に叩きつけられた。
私は人間の姿に戻る、力が抜けている。
女神の力は私なんかより、ずっと強い、判っていた。
「アイ・・あんただけ逃げて」
床に転送門を描いて逃がしたい、彼だけでも・・

見ているとアイは花を手に取り
「ヒサギ・・」
涙が流す彼は花に口づけをする

「アイ、アイニャンさん、大丈夫」
花は人に変わり光り輝く少女が生まれると、裸身の彼女は大人になる
長く美しい髪は腰まで伸びる
手足が伸びきると見たこともないような美しい女性が立っていた。

右手を高くあげて天を指さすと無音の神呪文が広がる
周囲の建物がゆっくりと崩れ始める、砂のように崩れ落ちる
この最下層の迷宮世界のすべてが崩れ落ちた。

砂ですら空気に紛れるように消えると、残ったのは私たちだけだ。
「アイニャンさん、癒やしを」
少女だったヒサギが、私に触れると力があふれる

アイは倒れている悪意の女神のそばに居る
私も近づくと、そこには幼い少女が倒れていた
赤い髪の少女は、ちょうどヒサギ位の年齢だ

「おかあさん」
女神の頬に触れると目を覚ます
「まったく、やってくれたね」
悪意(ワルワル)の女神は、やれやれと立ち上がる。
ぶかぶかの服をひきずりながら、アイの頬を殴る。
痛くもなさそうなアイは
「理由はなんですか?」と聞いた

「私があんたを養ったのは、あんたが半神だから」
ヒサギが
「神格を持てるのは女性だけなんでは?」と聞くと

「こいつは男神として希有な例だ、こいつと女神が結ばれると
 何が起きるか判らない」
悪意の女神は、うんざりした顔で話を続ける

「最初は、こいつが野心をもったら殺そうと考えた」
アイの顔がひきつる

「だが・・・成長すると・・・まともな男に育った」
ため息をついた
「そして最悪な事に、私はこいつに惚れた」

「え?」とヒサギが驚く
「は?」とアイは顔が真っ青になる
「わはははははっ」と私は腹をかかえた

うつむく悪意の女神は
「だから逃げたんだよ、女神と半神であろうと結ばれるとやっかいだ」
少女に戻った体を確認すると
「ヒサギのせいで、神格が削られてるね、前の力を戻せない」

私たちは結末を伝えに、冥界の女王の孟龍(モウロン)の所に行くと
「ご苦労、牛鬼を倒したのは良かった、面倒な奴だからな」
孟龍(モウロン)は私を手招きすると
「お前は、このまま地上で暮らせ、それが最後の修行になる」
導師からの指示で私はヒサギと住む事になる。
まぁでもヒサギのご飯を食べられるからいいか

ひさしぶりに、占い屋のマイカに会いに行く
顛末を知らせるとマイカは
「蜘蛛と大樹の逆位置は、強敵の意味だったのかしら?
 最後の虹だけど希望とか未来への成功よ」
えー的中したの?
「でも虹は、100%じゃないの、かすれて消える意味もあるわ」
やっぱり悪い占いじゃん
プンプンして外に出ると悪意の女神が居る

少女の彼女はアイと腕を組んでいる
「え?つきあってるの?」
「違う違う、単に買い物行くだけよ」
ニコニコしている女神と困惑している冒険者のアイを見送ると
私はヒサギの家に戻る、昼食は何かしら?

終わり


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