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SS アイニャンの冒険4 ワールドザワールド

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あらすじ 
愛娘(アイニャン)達は、情報屋から最下層に居る牛鬼が元凶と知り
下を目指す。

迷宮世界は蟻の巣を思い浮かべれば判りやすい。水平にも垂直にも
延々と世界が伸びている。牛鬼は迷宮世界の一部を領土にしている
その領土まで移動する手段が問題だ、領土を侵されないように関所
の存在は確認されている、悪意の女神(ワルワル)が連れ去られた
とすると容易には近づけない。

「さて会議よ」子供達を集める。
女神候補で今の所は何もしてないヒサギと
剣は使えるが所詮は子供の冒険者アイだ。
戦力が足りないが多ければ牛鬼が居る場所まで到達できる?
無理に思える、手下が何十匹も居る

「まずは牛鬼の説明ね」子供達は真剣な表情だ
「体は非常に硬い甲羅で覆われているわ、
 足は8本あってまぁ虫ね
 顔は人だけど角と牙がある」
ヒサギは怖そうにうなずいている。
「でも牛鬼は人の形にも変化するの、普段は人として暮らしている
 筈よ、女神をさらった理由は知らないけど、お嫁さんにしたいの
 かしらね」
アイが心配そうにうなずく。

「でも疑問があるのよ、女神なんでしょ?」
女神ならばこの世界の誰よりも力を得ている筈だ
「牛鬼ごときを倒すのは容易じゃないの?」

「俺もそれが判らないんです、彼女は人を花に変化させる事が出来
 ます。メタモルフォーゼが得意な人でした」
アイが不思議そうに語る
「女神さんの調子が悪いとか?力を一時的に封印されたとか」
ヒサギの真剣さ『だけ』は伝わる

「ねぇあんた」ヒサギの顔を見る
「なにできるの?」直球で聞いてみる

ヒサギは少し沈黙すると「・・・まだ判りません・・・」
私は頭をクシャクシャさせると天を仰ぐ
確か冥界の女王様は『修行』と言ったが、あれは私への言葉だ。
私がこの子供達を守りながら牛鬼を倒せば、マスターへの道が近づ
くのかなぁ、でも私は別に今のままでも不満が無い。
導師様と一緒にラブラブで仕事をするのが大好き。

「あんたの得意な事を教えて」
まずは味方の力を知るのは大事ね、百戦なんとかは危うからずよ。
「えーっとですね、掃除とお庭の水やりとお料理は得意です」
ヒサギは嬉しそうに話す
「そうそう卵料理が絶品だ」
アイがニコニコと談笑し始めた

こいつら緊張感ゼロだ。
「だ・れ・が家事の話を聞きたいのかなぁ?」
怒りで震える手でヒサギの頭を鷲づかみにすると、前後に揺らす
「すいません、すいません」
謝るヒサギと私の手を掴んで離そうとするアイでギャーギャーして
いると騒がしいのか、住人が集まってきた。
やばい、こいつらは地下世界の住民を憎んでいる。

「逃げるわよ」ヒサギを小脇に抱えると、走り出す
アイもすぐに追いついた、この小僧も足が速いわね。
迷路をぐねぐねと曲がると一息ついた
「よく迷いませんね」アイが不思議そうに見ている。

「神通力よ、周囲はある程度は判るわ、敵の位置も把握できる」
力が無ければ冥界の女王は、私をここに送り込まない
この子供達だけなら、秒で死んでいる。

「一度もどるわよ、転移場所をここに固定するから、大丈夫」
バイワールドは両隣の世界だ、鏡の裏表に近い。
転移する場所さえ判れば戻ってこれる

壁に転移の印を描いていると、男が寄ってくる
「お前は、地下世界から来たのか?」
モンスターではなく街の住人に見える、
革の防具に曲剣を持っている

「いそがしいの、用が無いなら・・」
言い終わる前に曲剣をぶん投げてきた、ぐるぐると回る剣は
両刃でかすっただけでも傷を負う。私はのけぞるように体を
曲げてかわす。
男はそのまま突進してくる
アイが剣を持って近寄ると男は下段の蹴りで足を払い
アイは派手に転倒する。

その勢いのまま私の下腹部に向かって蹴りが入る。
連続攻撃が速い、暗殺者だろうか。

蹴りを足で受けると男は黒い短刀を抜いて首を狙う。
バックステップで下がれると思ったが後ろは壁だ、
ドンっと壁にぶつかると男は私の腹の部分を上から
下腹部までナイフで切り裂いた。
激痛よりも初歩的なミスで怒りがあふれる
目の前が赤くなる
獣人化現象が始まる

体が膨れると同時に柔らかい服は裂けて飛び散る
手の先が大きく肥大すると肉球を持つ獣の前足になる
爪が長く伸びて飛び出す。
動作速度は人の体の時よりも速い
暗殺者の体を爪でひっかけると、そのまま持ち上げて
地面に叩きつけた。
石畳が派手に割れる音が響く。

「いーあーるさんーすー・・」
頭の中で数を数える、視界が明瞭になると
倒れているアイをヒサギが看病しているところが見えた
私はまだ冷静に戦えない、
獣人化すると理性が消えそうになる。

「大丈夫?」
私がヒサギに声をかけると、顔を赤くした。
「ん?どうしたの」
アイも起き上がろうとするが、その場で硬直している。
「なによ?」

ヒサギが「は・裸です」
そうだった獣人化の欠点は、服代が高くつく事だ
「別に子供に見られても平気よ」
体をくねらせてポーズしてやったわ、あははははっ。

続く


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