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SS アイニャンの冒険9 ワールドザワールド

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あらすじ 
愛娘(アイニャン)は、万全で出たとこ勝負の作戦を立てた
バイワールドに捕らえられている女神を助けるために
最下層へ向かう

私達は2階層目に出ると周囲を確認する、敵は居ない
まっくらな世界で、ヒサギは冒険者アイと両手をつなぐ。
向かい合いながら目をつむる。
「なんかいやらしい」と独り言

アイが小鳥になるとヒサギの胸に飛び込んだ
融合が成功するとヒサギは体が変化する
皮膚に黒い蛇のような、縄状の模様が現れると
ゆっくりと皮膚の上を這い回る。

「準備ができました」
中央部に行くと、ヒサギは私の腕を掴む。
「行きます」

私は地面が無くなり落下する感覚を味わう。
「す・吸い込まれる」
私は半笑いで、きゃっきゃっと喜んだ
「これ超たのしい」

心臓の鼓動が100回も数えない早さで最下層に付いた
暗闇の底は、地面がごつごつで前方に光が見えた
縦坑の出口だろう

周囲からゆっくりと気配が集まってくる、人型も獣型も
虫型もさまざな種類が数え切れないくらいに居るのが
判る
「どんだけ集めたのよ牛鬼」
かなり本気のようだ

私は獣に変化するとヒサギを乗せる。
「まだ大丈夫?」
「ええ・なんとか・・・」
私はヒサギの乗せたまま空中に飛び上がると飛空術で
出口に向かって突進をした、矢やらつぶてが飛んでくる
何個か当たるが気にしない

出口からでると巨大な空間に出る、光を感じるのは
迷宮世界の住人が術を使って天井を光らせているのだろう
一見すると青い空にも見えるが実際は幻と思える

「地下世界でもお空があるんですね」
ヒサギは不思議そうだ
「迷宮世界の奴らは、たまに地上まで行くわ
 本当に光の無い世界で生きるなら、こいつらは
 目を退化させて、出てこないわね」

適当な場所まで行くと、私は地面に降りて地下世界へ移動した
「どんな具合なの?」
ヒサギは疲れているのがぐったりしている
「あまり長く力は使えそうにないわね」
一晩は休ませる事にした。

次の日に、迷宮世界へ戻ると冒険者のアイに女神の居場所を
探らせた、アイは左手を握ると片手を肩の所まであげて
周囲を探る、そしてある方向を指さす。
「こちらから感じます」
見れば、巨大な城の天守閣がある

「牛鬼は天守閣に女神を隠したのね」
私は獣に変化をすると2人を乗せた
「いい?融合は最後の手段よ?私が突っ込むからね」
アイとヒサギは力強くうなずく

天に駆け上がると私は牛鬼の天守閣に特攻をする
天守閣の周りには、空を飛ぶコウモリのような敵も居たが
ジグザグに飛びながら避ける
子供達は必死にしがみついて毛が抜けそう
「天守閣よ、突撃!」
吠えるように叫ぶと、天守閣の窓を四本の足で突き破る

内部は豪華な赤い柱が並ぶ宮殿のような大広間だ
高い段の上に玉座がある、そこに人が座っていた
牛鬼?と思ったが、玉座の下に蜘蛛のような格好で
身構えていた。

「アイか、何をしに来たの?」
玉座に座った女性がふらりと立ち上がる
「おかあさん」
アイが叫ぶように近づこうとすると牛鬼が立ち塞がる

「めがみ様は俺のもんだ」
威嚇する牛鬼に「ひかえろ」と悪意(ワルワル)の女神が
命令をする。牛鬼は黙って下がる
まるで家来だ、なにが起きてるの?

「いつまでもガキのままだな、お前は」
女神は玉座を降りてアイに近づく。
「愛しくて憎くて、お前は嫌いだよ」
女神はアイの顔を拳で殴るとアイがふっとぶ。
「アイ、大丈夫」
ヒサギが駆け寄る

「さっさと消えな」女神は憎しみの目を向けると
玉座に戻ろとする。
「自分の子じゃないけど、育てたんでしょ」
私はたまらず叫んでしまう

女神は私の顔を見ると「獣か」
めんどくさそうに牛鬼に命令をした
「その男だけ残して、みな殺せ」

続く


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