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黒猫【カバー小説参加作品】
私は黒猫と一緒に生きている。黒猫は私の体に住んでいるが正しいかもしれない、体が成長すると同時に、中学生になると黒猫が間借りするように体に入り込んだ。
「猫って重いよね」
「たまにひっかくから痛い」
「猫なんて居なくていいのにね」
クラスメイトは猫が嫌いらしいが、私は自分の中の黒猫は好きだ。人と動物の関係は、基本は勘違いでしかない。お互いが愛を与えているように見えて、実は猫は人間を子供と思っている。だから宿主を守る。
「彼氏の手をひっかいたわ」
「なんか男子が近づくと威嚇するよね」
「猫は男が嫌いなのよ」
私も恋人と出会えると、彼は私の黒猫が見えるようになる。彼は酷く怯えていた。
「お前の猫をなんとかしてくれ……、怖いんだ、頼むから黒い猫を追い出してくれ」
猫は女と一体化している。消せるわけが無いと信じていたが、愛する男の頼みで探してみると、猫の力を弱める事ができた。猫剃り屋だ。
「猫の力を弱めると、男への警戒心がなくなりますよ」
年老いた女医は、説教しながらも猫を剃ってくれた。私から黒猫が消えると、うつろのようなぽっかりと穴を感じるようになった。だから男を求めた。
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「もう猫は居ないのか?」
愛する男が猫がいない事を確認すると、毎夜のように私を思うままにあつかう。私は猫がいない気楽さから、男から貪欲に快楽を受けとる。でもたまに猫の気配がする。
「そこにいるの?」
股間に手を伸ばすと猫じゃない、愛する男が猫のように私の体に溶け込もうとしている。黒猫のいない寂しさから、私は男の頭をなでた。
私の黒猫は少しずつ力を取り戻しているようだ、部屋の暗闇に潜んで力が復活するのを待っている。今でも私のことを見守っているのだろう。黒猫がまた戻れば、私は、この男を同じように愛せるのか……わからない。
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カバー小説を作成しました。猫は好きです。
カバー元です。ありがとうございます。