黒の洞窟:黒の洞窟【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(30/50)
第六章 黒の洞窟
第五話 黒の洞窟
あらすじ
魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼んだ、ギルドの案内人のマリアからシーフの娘の様子を見てくれと頼まれて、マリアの娘のラミラとライアンとミナリアで、山頂の洞窟に入ると光の魔法が消えてしまう。
「ラミラさん、ライアンさん…………」
暗闇の中で私は迷う。光の魔法が消されたのは、赤の洞窟の時と同じだ。魔法がキャンセルされる祠にはルビーがはめられていた。この洞窟にも同じ仕組みがあるのだろうか?
「ミナリア? 大丈夫? 」
ラミアさんの声が聞こえる、私は返事して動かないでと伝えた。壁に手をつけて戻る事は可能だろうが、暗闇の中だ、方向感覚がなくなれば奈落に落ちる。私はゆっくりと壁を探すと手をつけて戻る。ガラス玉を用意すると魔法を使う。ぼんやりと光が灯る。
周囲をかざしてみるとラミラさんの腰に、しがみついているライアンさんが見えた。驚いて転んだのかもしれない。光がゆっくりと薄れる、この付近に魔法を抑制する何かがあると私は感じる。私は手袋を外して、左手の指輪にそっと話しかける、洞窟の主のレオノーアと連絡が取れる筈だ。
「レオノーラさん、居ますか? 」
「何?」
耳元に声がして驚く、心臓がドキドキした。こんなに速く反応できるのは、凄いとか思ってしまう。私はレオノーラに、事情を説明するとみんなには見えない姿で私のそばに立つ、霊体と同じだ。レオノーラは、周囲を見回すと洞窟の底を指さした。
「底に祠があるわ」
底に近づいた事で魔法がキャンセルされていた、ここは【黒の洞窟】と教えて貰う、彼女の呪いを解く場所だ。彼女は最初から私を呼んでと怒っている。
「どうしよう……光の魔法が使えない」
「簡単よ、山頂を破壊して」
私は大胆さに呆れた、問題は天井だけ落とせるか、落石で周囲への被害が出ないか、それが心配だった。私は光の魔法が使える所まで坂を登る。このあたりなら光の魔法が使える場所で立ち止まる。
「魔力集中して天井に魔法を当てられればいいわ、穴を開ける程度ね」
難しいと思うが私は左手の七色に光る指輪の力を信じて、天井に向けると呪文を唱える。
「暴烈光芒」
爆発的な光でまぶしい、天井に向かって光の矢が伸びると天井を崩落させた。まぶしい光が広がると落下した岩石が地の底の祠に向かって落ちて行く………
祠が壊れた事で魔法が復活をした。
「たぶん底にあるのはブラックオニキスよ、光を吸収して閉じ込める性質があるわ、破壊しただけで十分よ」
魔女のレオノーラは、価値が低いので回収は不要と言う。私はラミラさんとライアンさんと一緒に山頂の出口へ戻る。外に出るとライアンさんが抱きついた事をラミラさんに謝罪している。ラミラさんは怒った風でもなく彼を慰めている。
「変な男だな、私が好きだってさ」
山を下りながら、ラミラさんはずっとライアンさんの話をしていた。嬉しそうに笑う彼女は幸せそうに見える。
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