SS カフェ4分33秒 #毎週ショートショートnoteの応募用
「4分33秒……」
店内に張り紙がされている、カフェの店内に客は存在していない。昔は純喫茶だったが、今では古くさいだけだ。
カフェ4分33秒にどんな秘密があるのだろうか? 私はカウンターに座ると少女がカウンター越しに顔を出す。まだ小学四年生くらいだろうか?
「おきゃくさん。なにします? 」
「大人の人は? 」
「いません」
手書きのメニューを出されると、カップ麺とだけ書かれている。
「軽食はカップ麺だけ? 」
「味噌と醤油あります」
「じゃあ、味噌で」
カウンターにカップ麺を持ってくるとお湯を入れて割り箸を渡される。
3分が長く感じられる。女の子はカップ麺をじっと見ながら、ストップウォッチで計測していた。
「できました」
べりべりと蓋をはがすと味噌の匂いがただよう。
「あと1分33秒で食べてください」
俺は女の子に宣言されると、急いで食する。ふはふは、あちちち、ずるずると食い終わる。
「2分10秒です、残念! 」
少女から、なぜかダメ出しされて、お会計と言われて1500円を要求された。
店を出ると秋深く空には鰯雲が見えた。
「ミソキンだったのかな……」
俺は馬居望男、マイナーグルメの取材でぼったくられた男。