SS 占い師マイカの毎日:恋人【ワールドザワールド】
あらすじ
平行世界に含まれる大樹の世界で占いの店を経営するマイカ。異世界から来た死神は、タロットカードのパワーが生み出した実体だった。マイカは力を持つカードに興味を持つ。
「マイカさん 相談があるんです …… 」
冒険者のアイが占いの店に来る、珍しいを通り超して不思議に思える。アイは確かに優柔不断な所もあるが、基本は自分で道を作るタイプだ。迷う事があるの?とも思う。ただ彼も未成年だ、将来の事も心配だ。大人になって冒険者は痛い。将来が不安だ。
「何を占うの?」
彼は言いにくそうにしている。私は手に入れたばかりのカードを使って見たかった。彼のそのもじもじした態度を見ていると、イタズラ心を芽生える。
「新しいカードを手にいれたの?試す?」
冒険者のアイは、黙って真剣な顔をしたうなずく。私は細長いカードをシャッフルして彼に差し出す。彼は右の端を選んだ。先頭のカードを引く彼に、たくましさを感じる。彼は運命を元から信用していない。
彼はカードを裏返すと、二人の男女のカードだ。そして逆位置。私はカードを額近づけると、異世界の力を感じる。
「あら?カードの外の世界に出られるのね?」
「本当だ、この世界は不思議だね」
声がする。私は顔を上げると裸の男女が私たちを見ている。アイは後ろに突如出現した女性を見てどぎまぎとしている。椅子から立ち上がると私の後ろに回り込む。私はお前のおかあさんか。
「あなたたちは ……… カードの中の人ね?」
予想はしたが死神に続いて別のカードからも力があふれたのだろう。男女は、冒険者のアイを見ると
「君が占い相手だね?私たちを逆位置で呼び出したから、君は彼女に積極的に手を出すと思うね」
男性の方が断言をする。
「それは違うわ、失恋よ、あなは相手にされていない」
アイを指さすと破滅的な予言をする。
「え?いや その違いますよ …… 」
アイは混乱をしている。
「僕は その 養母(ハハ)に会うにはどうすればいいのかと」
アイの母親は、世界の危機を解消すべく異世界で神となり、その世界の安定に寄与している(と思う)。異世界に移動をするのは簡単ではない、特に彼は普通の子供だ、母親に会いにいけるわけもない。
「え?マザコンなの?」
「まだ子供だからね、君は速く乳離れをすべき」
その後も恋人達は延々とダメ出ししまくった。
私は
「あ!もういいですから、帰って」
彼らは不満そうに私を見ると、薄れて消える。冒険者のアイは精神的なダメージも強く、落ち込んでいる。私は彼の背中をやさしく押すと、
「お代はいらないから」
店の外に出す。
「このカードはかなりやばいかも …… 」
続く