奈落 ワールドザワールド
混乱をしている冒険者のアイを見ながら、孤独王が質問をする
「ヒサギに触れた後に、お前は何をした?」
アイは
「ヒサギに触れている間は、空の上から鬼を見ていた」
「ヒサギが困ってるように見えたので、肩を押せと助言したよ」
「意識の共有があるのか?」
孤独王は整理しながら説明をした。
「ヒサギは、人に触れている状態で女神の力を発揮しているな」
「特にアイ、お前と触れていると発動している」
アイは混乱しながら
「女神の力はヒサギが使うんじゃないのか?」
孤独王は
「ヒサギは触れた相手と意識を深くつなげる事で、
力を使えるのかもしれない」
孤独王は、推測だけ話すと南の穴へ急がせた。
奈落はそれほど遠くなかった。
低い丘の真ん中に穴が空いている。
大きな漏斗のような形で、底まで歩ける道が出来ていた。
この底の穴に落ちると、地獄へ行ける迷信がある。
実際は底が見えないだけで、悪魔などは出てこない。
「この下にある穴から、封印の箱を落とせばいいのかしら」
私が怖そうに下を見ていると、足下に銃弾が撃ち込まれた。
孤独王は「アイとヒサギは、そのまま下へ走れ」
銃を取り出しながら、応戦を始める。
アイは私の手を握る、時間が止まり世界を空から見ている。
銃撃しているのは女神を憎んでいるガン=シヨク=ガヨクだ。
手下を何人も連れて待ち伏せをしていた。
ガヨクからすれば、箱を取り返しアイと私を殺せば
女神への復讐の一歩になるのだろう
その執拗さを、私はまだ理解できない。
「ヒサギ、奈落まで飛べるか?」
アイも同じ景色が見えていると思える
「穴のそばまで飛び降りてみる」
ちょっと勇気がいるが、アイといると怖くない
私は穴の近くまで飛んだ
近くまでと願ったのに、なぜか穴に向けて落ちていく。
「アイ、止められない」
私は無意識で、悲鳴を上げていたと思う。