
SS アニュのお花摘み【恋花粉】#毎週ショートショートnoteの応募用
「恋花粉ってなんですか?」
「幸せの花飾りだよ」
アニュは新婚さんのために、お花をつんでくるよう祖母に頼まれる。
(恋花粉!恋花粉!)
フンフンと鼻歌しながら山を登って山頂に到着すると、広大なお花畑が広がっている。
「わぁ、お花畑すごい」
赤黄青のきれいな花が満開だ。その中でも美しい黄色い花がある。ゲルセミウム・エレガンスだ!
「この花がいいかしら……」
「まつんだ!」
大きな声でびっくりしてふりかえる、若いクシャトリヤの男がアニュの手首を握る。
「おゆるしください」
「その花に触るんじゃない」
「私は貧しい村の娘です」
「それは危険な花で……」
突然、ハヌマーンが顕現する。アニュの腰巻きに描かれた猿顔の神様は、アニュを全力で守る。
ボコッ
若いクシャトリヤが吹っ飛んだ。
「ハヌマーンさん、私は平気ですよ」
「こやつめ、アニュに乱暴をしようと」
「違う、ゲルセミウム・エレガンスは毒の花で触るとヤバイ……グフッ」
倒れた男をアニュがやさしく介抱する。薄く目をひらいた彼は、アニュの美しさに恋をした。

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