呪文(07/15) 【幸蔵の旅】
あらすじ:幸蔵は屍鬼に立ち向かう。
「阿毘羅吽欠蘇婆訶」
幸蔵が両手で印を切る。着物をはだけると背中から羽を生やして飛び上がる、幸蔵は天狗の術で空を飛べた、自在に飛び回りながら屍鬼の頭に、天狗礫をぶつける。幸蔵は手から石を生み出して投げることができた。時間をかければ両手を抱えるような大きな石を作れた。
「これはたまらん」
屍鬼が山頂に逃げる。幸蔵も飛んで追いかけるが、屍鬼の足も速く飛ぶように地面を走る、負けじと追いかけると寺が見えた。
「この女を殺すぞ! 」
屍鬼が娘を盾にする、見れば幸蔵の姉の千だ。長い髪で美しい顔は半分がもう鬼に変わっていた。人側の半顔が泣いている。
「幸蔵、もう村の人は大半は鬼に変わりました、私を置いて逃げなさい」
幸蔵はどうすれば判らない、体は大きく育ったが心はまだ子供だ。姉を見捨てる事はできないが、無理をすれば姉は死ぬ。苦悶をしていると、地面から巨大な蜘蛛が這い出てくる。土蜘蛛は幸蔵へ糸を吐き出す。たちまち糸でぐるぐる巻きにされると地面に落とされた。
「こやつは天狗の子か? 鬼神様に報告をしないと」
土蜘蛛は屍鬼に命令をする。彼らは日本国を乗っ取るために各地を荒らしている妖怪達だった。