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SS 平凡な日常【バズる実家】 #爪毛の挑戦状

「あなたの家がバズってたわよ」
「え? 何の話ですか」

 いつものように壁際の席で腕を組んで頭を乗せて寝ていたら幼馴染のクラス委員長が肩をゆすって俺を起こした。
「SNSで再生数が100万くらいあったわ」
「なんでよ!」

 トレンドを見るとICBMの文字が飛び込んでくる、あわてて検索したら俺の実家がバズってる。

『某国がICBM実験失敗、民家に直撃!』

 バズる実家を呆然とみながら家族が心配になり教室を飛び出した。なんとか家の付近に到着すると非常線が張られて中に入れない。

「あら! 帰ってきたの?」
「かあさん、無事だったのか」
「大丈夫よ、うちの庭にお稲荷さんあるから」

 昔からある小さいやしろは狐をまつっていたが、それとこれと何の関係があるのかまったくわからん。

「この人が助けてくれたの」
「わしは天狐てんこ阿紫あしびじゃ」

 美人の狐は洋服を着て普通の女性に見えるが目じりに赤いべにをさしている。母親は祖母から言われて常に稲荷寿司をおそなえしていた。

「わしがあの鉄の塊を無効にしといたぞ」
「ありがとうございます」

 母親がのんきにお礼を言っていると空から巨大な隕石が落ちてきた!

「かあさん!にげないと」
「大丈夫だ、うちは托塔李天王たくとうりてんのう様が守っている」

 親父がSNSを見て早退してきたのか、俺の肩をがっしりつかむと家を指さす。そういえば家には宝塔もあり親父が毎日読経していた。その家から巨大な軍神が立ち上がると隕石めがけて突っ込んで破壊する!

 ばらばらと細かな石の破片が落ちてくる空を見上げると巨大なUFOが浮かんでいた! そのUFOから地球人に向けて最後通告が始まる。

「ワレワレは、チキュウを支配する」

 立体映像なのか奇怪な宇宙人が高笑いを始めた。

「父さん、母さんもうだめだ」
「大丈夫よ、私にまかせて」

 幼馴染のクラス委員長が眼鏡をとると変身する、もちろん数秒間は裸だ。スーパーヒロインになった彼女は巨大UFOめがけて特攻して爆破してしまう。

「……もうバズるとかのレベルじゃないな……」

 俺は我慢できずに変身する、養子の俺は実はタイムパトロールをしている超銀河団の公務員だ。平和な世界に戻すため腕時計の龍頭りゅうずを巻いた。

「また寝てる、もう授業よ」
「起きるよ」

 クラス委員長に肩をゆすられて目を覚ます。夢のような出来事だった、でも彼女はウィンクしながら、こぶしを握って親指を上に向けてサムアップする。

「さすがスーパーヒロインは記憶が残るか……」

#爪毛の挑戦状
#SF
#バズる実家

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