SS わがまま姫様【真夜中万華鏡】#毎週ショートショートnoteの応募用(480文字くらい)
「万華鏡が欲しいの」
わがままな姫様は万華鏡に夢中で職人に次々と作らせるが、それも似たようなモノしか作れない。
「もっともっと不思議なものを見せて」
そこに一人の若い技師があらわれた。姫様に誰も見たことがない万華鏡を作って見せると約束する。
「ただし……とてもお金がかかります」
「いいわ、お父様に頼むから」
技師は監督となり、職人を大勢集めて塔を作る。塔は白いレンガでとても美しい。
「姫様、万華鏡が完成しました」
「これが?」
指さす塔は先端にレンズをつけて、中は鏡でおおわれている。
「真夜中万華鏡です」
「昼には見えないの?」
「光が強すぎますからね」
夜になると、先端のレンズから布をとりはずす。月光が入ると内部の鏡に反射をして、ステンドグラスが光り輝く。
「ステキ、こんなの初めて」
塔の中央で光の乱舞を楽しむ、姫は夜になると夕食をとり演奏会をして、楽しんだ。
(でもお昼ならもっと……)
技師には黙って、昼に塔の中央で待つ。
「光をいれて」
姫様は何も残さずに灰になったそうです。
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