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SS 名を自動転売鬼 #毎週ショートショートnoteの応募用
名を自動転売鬼、とぼとぼと歩く小鬼は悲しそうな顔をしている。
「荷物を渡されるだけで飽きた」
小鬼はひたすら転売の作業をしている、他の小鬼から依頼されて、他の小鬼に少しだけ利益をつけて売る。単調な仕事だ、まるでタンポポの花を刺身に置くような虚無感がある。落ち込みながら、しばらく歩くと自動翻訳鬼が居る。
「知らない言葉を知らない言葉で返すから飽きた」
彼も愚痴を言う、辞書を片手に調べて返すが中身なんて判らない。二匹で沈んでいると全自動洗濯鬼がやってくる。
「いいかい? 我々がいるから人間は毎日を楽しく過ごせるんだよ」
真っ白な体の彼女は誇らしげだ。半世紀前に生まれた彼女は主婦の味方。なるほど小鬼が働くから、人間は暇に過ごせる。どんな仕事も貴賤なんて無い。自動転売鬼は、これからも張り切って仕事をする。
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「なんかアマゾンのグラボが高いな? 」
「どうせ転売厨が居るんだろ」
今日もどこかで自動転売鬼が頑張ってる……
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