SS 十年パンイチ #毎週ショートショートnoteの応募用
「サンタさんは今年も同じプレゼントかな…」
僕は期待をしている。毎年同じでもプレゼントは楽しみ、自然とニコニコ笑う。本当のお父さんとお母さんは居ないけど僕は幸せだ。サンタさんからプレゼントを貰える。
「速く夜にならないかなぁ」
「クリスマスおめでとう」
お姉さんが部屋に入ると僕の為に昼食を用意してくれる。今日は小さなケーキがある。僕は手をパチパチと叩く。
昔は暗い部屋に住んでいた。今は明るい部屋で食事もある。あの頃とは違う。僕はケーキを素手でつかむと、まるごと口にいれる。
「おいひい、おいひい。」
涙が出る。昔はこんなおいしいものを食べられない。お姉さんはいつのまにか居ない。僕は画用紙に感謝の絵を描く事にした。本当のお父さんとお母さんとお姉さんとサンタさんが…
「血まみれの絵ですね」
「ああ、両親を殺してパンツ一枚で仁王立ちしていた」
「今でもパンツ一枚ですか」
「十年パンイチで病室に居るからな」
主治医は今年もパンツをプレゼントするつもりだ。