SS 数学ダージリン #毎週ショートショートnoteの応募用
数学ダージリン探偵、彼はそう呼ばれている。
「ダージリン、お仕事きたわよ」
シングルマザーで眼鏡の秘書が、FAXを持って入ってきた。普段は浮気調査だけだが、今回は特殊だ。
「仕事は久しぶりだ」
「遺産が見つからないの」
「遺書は?」
「数式だけ書かれていて……」
依頼した少女は、巨大な遺産を受け取れる筈だったが、親戚たちの悪巧みを恐れて、祖父は暗号化していた。
金庫に入っていた遺書は数式だ。難解な数式は、誰が見てもわからない。悲しげな少女はダージリンに頼む!
「数式は理解できても、意味がわからなくて。お願いします……」
「俺にまかせろ!」
数式の値は二次元の数列でプロッタ座標だった。数式をグラフ化すると文字が浮かび上がる。
(遺書
解ける力が遺産)
「おじいさま……」
ダージリンは少女の肩を抱く。遺書に書かれていた数値で、電子ロックの金庫が開く。少女は巨万の遺産を、すべて寄付してしまう。
「おじいさまの言うとおりに、私の力だけで幸せになります」
xxx
「ダージリン、今年も届いたわよ」
秘書が持ってきた紅茶の包みは、ダージリンの茶葉。彼女はインドの山奥で今でも数学の教師をしている。
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