SS 半タライのウッキーゲーム#毎週ショートショートnoteの応募用
「この世界には、タライと反タライがある」
美人で巨乳だけど異様な研究ばかりしている科学者の神宮寺咲は、いつもの妙な思考実験中だ。もっとも私が居なくても自問自答をしている。
「粒子と反粒子みたいな感じですか?」
「似ているが違う、タライは洗うが反タライは汚す」
「……意味が判らないです」
「マクスウェルの悪魔と同じだ、私たちは猿のいたずらと呼んでいる、今の洗濯機は反タライだ! 」
洗濯は衣服の汚れを取り除くが、同時に地球環境は汚れる。マイクロプラスチック問題だ。衣服から大量のプラスチックが下水に流れて海に到達する。
「洗濯をする事で地球にダメージを与えるのですね? 」
「そうだ、猿が洗う事で地球がピンチだ!! 」
別に猿でなくても良いと思うが私はうなずいた。
「そこで考えたのが、半タライのウッキーゲームマシン! 」
咲博士は猫耳を頭につけると自慢げに設計図を見せる。透明なチューブマシンに人が入っている、裸だ。
「なんですかこれ? エロですか? AVですか? 」
「失敬だな、このチューブの中で肌に特殊インクを塗布する」
咲博士は、ボディペンティングマシンで衣服が根絶する未来を予想している。これで洗濯不要だ、インクは再利用可能だと有頂天だ。
「……でも裸ですよね?」
「そこは考えてある、しばらくすると全身に毛が生える、猿と同じだ」
この脱毛世界で、毛を生やす人が増えるだろうか? でも予想に反して博士の発明は成功する。
頭髪を増やすマシンとして特許を取れた……