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多民族国家の難しさ シンガポール編

シンガポールのショッピングモールで夕方カフェに座っていると、いろんな人たちが目に入ってきます。
買い物に疲れて一息ついている中華系夫婦、
男の子にアイスを食べさせている白人ママ、
友達とお買い物を楽しんでいる、ヒジャブをかぶったマレー系の女の子、
ショーウィンドウを除いているインド系カップル、、、

シンガポールは国民の7割以上が中華系、
そのあとマレー系、インド系、フィリピン系、その他と続きます。

ちなみにシンガポールの日本人人口は3万人以上。国全体の人口が560万人ほどと考えると、かなりの人数です。
中華系と同じような見た目ということもあり、日本人が差別をされるような場面は滅多にありません。

シンガポールは多民族国家として成長してきた歴史があり、
現大統領はマレー系女性、総理大臣は中華系男性が就いています。
国民のほとんどが住んでいる公団住宅(HDB)では、同じ建物にに特定の人種が固まって住まないように、購入時の配分がされています。
シンガポールはさまざまな人種が仲良く暮らしている国、そんなブランディングがされています。

私はシンガポールに来てから、人種差別についての話題は少しタブーな空気があることを感じていました。
違う人種が共存している、と言いながらも、保守的なアジア系の親世代たちは
中華系、マレー系、インド系、それぞれに対して、表では言わない感情があります。

私は以前中華系シンガポール人の男性とお付き合いをし、残念ながらサヨナラしてしまったあと
現在はマレー系シンガポール人とお付き合いをしています。

一番驚いたのは、マレー系としての不満やコンプレックスが
想像していたよりも強かったことです。
確かにマレー系はシンガポールではマイノリティではありますが、
「どうせチャイニーズが言ってることだから」
「マレーだからってバカにしてる」
「マレーとは付き合いたくない」
山ほど出てきます。

私も地元が息苦しくなって、東京で就職し、さらには海外まで出てきた身なので
全く理解できないわけではありません。

ただ、2年間シンガポールに住んでいて全く気が付かなかった側面を目の当たりにして
やはり違う人種が共存すると言うのは簡単ではないのだな、と感じることが多くなりました。

最近、中華系の中年男性が、街を歩いているカップルに対して人種差別発言をしたことが大きなニュースになりました。
カップルは、見た目は男性がインド系で女性が中華系。
ただ、2人ともミックスなようです。
中華系男性は、2人に対して
「君たちの親はどうせ賛成しないだろう」
「同じ人種と付き合いなさい」と
道端で急にカップルを呼び止めて話していました。
この動画が国中に広まり、今までどこかタブーとされてきた人種問題の話題が
少しずつオープンになってきています。

もうすぐ56歳を迎えるシンガポール、
言論統制やニュース規制が当たり前のこの国で
どのように変化していくのか、楽しみでもあります。