野菜を食べましょう!
「トマトはいらんかねぇ」
昔、トラックに野菜をたくさん積んだおじさんが、開けっぱなしの玄関先で呼んでいるのが、夏休みの光景だった。
夏には真っ赤なトマトやまっすぐキュウリ、冬には大きくてもキュッと引き締まった白菜や太い大根など、季節の野菜が軽トラックの荷台いっぱいに積まれていた。こんなたくさんの野菜、どうやって作ってるんだろうと、不思議に思っていた。
おじさんが足繁く売りに来てくれることもあってか、昔から野菜はたくさん食べていた。ニンジンやピーマンが嫌いという友達もいたが、僕には嫌いな野菜はなかった。
厚生労働省の「令和4年『国民健康・栄養調査』」によると、野菜の摂取量がこの10年間で 、男女とも有意に減少しているそうだ。年代別にみると、男女ともに20歳代で最も少なく、年齢が高い層で多い。
厚生労働省は1日350g以上摂取を推奨している。野菜は、ビタミンやミネラル・食物繊維を多く含んでいて、野菜を多く摂取する人は脳卒中や心臓病などにかかる確率が低いという結果が出ているそうだ。
ハウス栽培が主流になった今、季節に関係なく、いろいろな野菜がスーパーの店頭に並ぶ。並ぶには並ぶが、異常気象などもあって高めの価格が目に入ることもしばしば。野菜と一緒にならぶ値札に、財布の紐が堅くなるのも現状か。
今はおじさんが売りに来ることはなくなってしまった。里山ドライブの道すがら、無人販売で売っている季節の野菜をみると、おじさんの「トマトはいらんかねぇ」の声が聞こえてくるようだ。
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