ドラゴンテイマー(17)
ジェシカ婆は、銀盤を机の上に置いた。そして両手を盤にかざし、少し集中する素振りを見せた。
風が室内を流れた。婆はいよいよ集中し、少し前のめりになり、銀盤の上に婆の顔が来た。
その時、銀盤が仄かな光を帯び始め、同時にカタカタと、少し振動しだしたのである。
カイとけんたろうの二人は、息を呑んで銀盤を見つめていた。銀盤は元はつるつるの、なんの装飾もない銀の皿だったが、今やその盤に、二人には解読不能の、謎の文字か紋様のようなものが浮かび上がっていたのである!
「おばあさん、なにかしら、なにか文字のようなものが浮かんで来たわ!」
「たまげたな、おれこんな立派な手品、今までに見たこともねえ」とけんたろう。
やがて婆は集中を解き、リラックスした。
手をだらんと垂らし、少し放心のていである。
銀盤に文字はまだ残っている。それがうっすらと消えていくのをちらりと見て、
「大体の所はわかったよ」
と二人に告げた。