ドラゴンテイマー(7)
「で、どこだ?チビちゃんは?」
けんたろうは少女に尋ねた。
「こっちよ!」
少女が来た方に駆けて行く。けんたろうは走って追いかけた。
二人が着くと、中庭に、四人の男達が居て、その真ん中で小さな赤竜のあかちゃんが、ひるみながらも半ば傲然と、人間、
この哀れな種族の事を睨みつけていた。
「ぐるるるるッ!」
「ホッ、このおチビさん、一丁前に威嚇してやがる」
四人の中で一番身なりが良くて、一番頭の悪そうなのが、そう言って赤竜をからかうと、
「やめなさい!ジル侯爵!」
少女が厳しい声音で男を叱責する。
品の無い男はじろりと少女を見たが、何も言わなかった。
けんたろうは四人を無視して、ドラゴンに近づいて行った。
なんの恐れもためらいもなく、ドラゴンの背に触れたので、ドラゴンすら噛み付く事を忘れ一瞬あっけにとられたほどだ。
けんたろうはそのままドラゴンの背をやさしく撫で、笑いながら言った。
「武器を持った大人の男四人を前にしてうなって魅せるその器量、お前、大したドラゴンだよ。大ドラゴンのコドモだな」
けんたろうがそう語りかけると、ドラゴンはとても悲しそうな声で、ぐぎゃあ、と一声鳴いた。