ドラゴンテイマー(3)
王からの使者は、背の高いやせた人間。
いかにも嫌そうな様子で周りを見ながら、ひくひく鼻を動かした。
ドンゴは下から見上げる形ながら、この嫌味な使者が隙を見せたらすかさず一撃を食らわすつもりでいた。
「王様が、おいら達に用があるって?」ドンゴが使者を睨みながら尋ねる。
「さよう」
「ふん。なんだ。早く用件を言え」
「しからば。わがラルゴ王が、亡き王妃との間にもうけた愛娘、カイ王女の事はご存知か?」
「ふん」
「カイ王女が近々8歳の誕生日を迎えられることは?」
「ふんっ!」
「8歳の誕生日に、王様は、王女に、レッドドラゴンの赤ちゃんをプレゼントする」
「な、なんだって?!」
「今、火吹山に騎士たちが向かっているのは、メスのレッドドラゴンを征伐して、赤ちゃんをさらってくるためである」
「なんてえ奴らだ・・・」
「聞かなかった事にする。そちらは王宮に、熟練のドラゴンテイマーを派遣し、レッドドラゴンの子を人間に馴化させ、もし万が一そのドラゴンが暴れて被害が生じた時には責任を取ってクビをはねられること!要件はこれである。断れば即刻軍隊がこちらに向かう!」
「ぐぬぬぬぬぬ!!」
悔しさのあまり真っ赤な顔でこらえるドンゴの事を振り返りもせず、使者はおもむろに背を向けてその場を立ち去った。