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バス釣りが禁止になる日!?〜SDGsから考える共存取り組みの必要性

琵琶湖のリリース禁止問題を通して日本におけるバスフィッシングの未来を考える

琵琶湖にバス釣りに行こうとして感じたリリース禁止のモヤモヤ感。半日の電撃釣行で魚は釣れなかったので生かす殺すの葛藤はありませんでしたが、

実際に現地に行ってみてリリース禁止ボックスを見て、琵琶湖博物館での展示の仕方やブラックバスやブルーギル、雷魚の水槽を見た際の一般の方の会話を聞いて、

バス釣りが好きな立場からすると、複雑な感情になり、改めて考えさせられる体験でした。

それと同時に、私が中学生だった時に今は亡き祖父に連れられて琵琶湖にバスフィッシングに来た時には、簡単に沢山釣れたことを思い出しました。

私が中学生の頃はバスフィッシングが全盛期だったこともあり、琵琶湖は釣り人も魚も多くてイケイケな印象でしたが、

あれから約20年経って今回訪れた琵琶湖の印象は、釣り人は沢山いても誰も釣れておらず、リリース禁止も含めて閉塞的な雰囲気が漂い、ブラックバスの駆除も粛々と進んでいる様な感じがしました。

そこで今回は改めてブラックバスのリリース禁止問題についてすこし真面目に考えてみたいと思います。

多分に私見や願望も入っていますので、情報や意見に関しては必ずしも正しいかどうかは分かりませんが、

ブラックバスが特定外来生物に指定されてからは、なんとなくグレーゾーンとして誤魔化していても、心のどこかでは悪いことをしている様な気がして肩身の狭い思いをしているバサーも多いのではないかと思います。

琵琶湖のバス釣り問題を通して、ひいては日本におけるバスフィッシングの今後について考えるきっかけになったなら良いと思います。

ブラックバスとバサーは嫌われている

ではまず、バス釣りはどうして嫌われるのかについて考えてみましょう。

釣りをしない一般の人やブラックバスが食べるベイトフィッシュを取って生計を立てている漁師さんなどからするとブラックバスは迷惑な魚でそれを釣って遊んでいるバサーも嫌われているのは事実だと思います。

そこで、まずはそれぞれの立場を想像してみて、なぜブラックバスやバサーが嫌いだと思うのかを推察してみました。

ブラックバスやバサーが一般の人に嫌われる理由
・日本政府の決定とメディアのプロパガンダの影響
特に自分の頭で考えたことはないが、ブラックバスは迷惑な魚だというテレビや記事などの報道を鵜呑みにしてそれに影響を受けて、そういうものだと思い込んでいる

・バサーが邪魔
ブラックバスを釣りたいがために、私有地の野池などの釣り禁止エリアにバサーが入ってきて、ポイ捨てをしたり、ルアーやラインが絡まったり、グループで騒いだりして迷惑な存在だと感じる

ポイ捨て、無断駐車、不法侵入、騒音、歩行者のいる歩道からの釣りなど、バス釣りをしている人のマナーの悪さによって実際に迷惑をかけられて嫌いになったり、直接的に迷惑をかけられていなくても周りから見ていて印象が悪く嫌悪感を持っている

・ルアーフィッシング自体の釣り方の危険性
針のついているルアーを振り回したり、橋の上を歩いていたらミスキャストしたルアーが飛んで来たりするので危ない

・ルアーフィッシングが環境に対する悪影響
釣り場に放置されたルアーやラインに水鳥が絡まったり、魚が飲み込んだりしてダメージを与えるので嫌悪感がある

・ブラックバスの水産物としての価値が乏しい
ブラックバスは独特の臭みがあって、現状日本では食材魚として普及していないので水産物としての価値を感じない。食べておいしい魚なら一般人にも身近な存在になるので、バスフィッシングに対しても一定の理解を得られる可能性があるが、ゲームフィッシングの対象魚としての価値は釣りをしない人には理解できない。

・アメリカが嫌い
特に戦争を経験したお年寄りにとって外国(アメリカ)に対する拒絶感がある。ブラックバスはアメリカから持ち込まれたアメリカ原産の魚であり、戦争の記憶があるお年寄りにとっては潜在意識で拒否感がある

ブラックバスやバサーが漁師の人に嫌われる理由
・ブラックバスのせいで漁獲量が減る
ブラックバスは肉食性で小魚、甲殻類を始め何でも食べてしまうので、ベイトフィッシュを取って生計を立てている漁師さんからすると漁獲量に影響する死活問題となる

・ブラックバスは漁の邪魔
網にブラックバスが掛かっても水産物としての価値がないため、売り上げにつながらず、網から外して捨てる手間だけが増えるので邪魔な存在だと感じる

・ルアーやラインが漁の邪魔
ブラックバスは障害物につく性質があるため、バサーは定置網などが見えるとついルアーを投げたくなる。そのため漁の網に引っかかって根掛かりしたルアーやラインが絡まったまま放置されることになり、漁師さんが網を引き上げる時に釣り針が手に刺さって怪我をしたり、ラインが絡まって網から外れないなど迷惑に感じる

・バサーが邪魔
ブラックバスを釣りたいがために、漁港や私有地などの釣り禁止エリアにバサーが入ってきて、係留船の近くで釣りをしたり、ポイ捨てをしたり、ルアーやラインが絡まったり、グループで騒いだりして迷惑な存在だと感じる

・ボートで釣りをしているバサーが邪魔
バスボートやバス釣りをするためにレジャーボートを借りて釣りをしているバサーが漁船の近くや定置網などの近くで釣りをしてトラブルになったり、幅寄せして迷惑だったりする

ブラックバスやバサーが政府に嫌われる理由
・利権の浸食の声が大きい
一般国民や漁協関係の人など自身に投票してくれる有権者からブラックバスやバサーに対して不満の声が聞かれ、票に響くので規制した方が良いと感じる

・リアルに在来種などの漁獲量が減っている
ブラックバスだけが原因かは定かではないが、ブラックバスがフィッシュイーターであることは事実であり、在来種保護のため駆除する方向に舵を切らざる負えない

・ボートで釣りをしているバサーが邪魔
バスボートなどの船で釣りをしているバサーが幅寄せしたり、禁止エリアで釣りをしたり、クルージングや水上スキーなどの釣り以外の湖上レジャーの客とトラブルになったりなどマナーが悪いため、都道府県としては観光資源としての名誉にかかわるので規制したい

固有種保護って言うけど本来どこまでが在来種?

琵琶湖博物館では琵琶湖の歴史を紹介しているが、400年前に三重県は伊賀地方にできた初期の琵琶湖にどれだけの魚がいたのだろうか?

琵琶湖博物館で固有種として紹介されている魚も、古代の琵琶湖にはいなかったのなら琵琶湖という基準から見たら厳密に突き詰めて行けば外来種の可能性もある

例えば鯉なども一般的河川で見られる真鯉(ヤマトゴイ)などは元々は中国から持ち込まれたという説もあり、その意味では外来種と言えるが、ブラックバスを駆除しても真鯉を駆除しようとは言われず、むしろ保護対象とされる傾向がある

リリース禁止条例など法律の基準は琵琶湖ではなく人間
古代の琵琶湖からしたら漁師の人達だって琵琶湖は俺たちが漁をするための湖だとは言えないが、ブラックバスが後から持ち込まれたことで元々生活していた人の邪魔になっている事も事実

法律や条例は人間の生活や利権を守るものであり、琵琶湖を守るものではない。

琵琶湖を守るという地球的な視点からしたらそもそも人間自体が邪魔な存在なので、釣りはおろか漁もするなという事になってしまう。※むしろ大量に魚を取る漁の方が生態系に与える影響は大きい

例えば、琵琶湖博物館で紹介されているモエビを釣り餌として輸出している件についても琵琶湖視点からしたら生態系を壊する行為になる

つまり、法律や条例はもともとそこで生活している人達の利害関係を犯すか否かで決まるし、それも力の強い方(政府として票になる方)が有利

日本は基本的に高齢者の特に男性が牛耳っている国で、多数決でも人口比率として少子高齢化の影響があり高齢者が有利

国としてのベースが高齢者優遇の中で、釣り人口の中でも比較的若者が多いバスフィッシングが、利害関係を調整して共存されていくのは元々ハードルが高い

更にブラックバス自体に水産物としての価値が低いので、ブラックバスの価値やルアーフィッシングの意義について、漁師の人にも一般の人にも理解されにくい

ブラックバスは本当に壊滅的な在来種の減少や生態系の破壊に影響しているのか?

ブラックバスが在来種の減少に影響するという明確な根拠やデータは無いが、ブラックバスがフィッシュイーターであることは事実であり、在来種の減少に影響している事は容易に想像される

参考論文例 「バス問題の経緯と背景」
https://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/bull/bull12/yodo.pdf

根本的な在来種保護の観点からすれば、ブラックバスよりも生態系に対して

・深刻な影響を与えている要因はないか?
・もしあるならそれは規制されているか?

なども同時に考えていく必要があるが、だからと言ってもっと大きな要因があるかも知れないからブラックバスを規制することが的外れだという理論は成り立たない。

ブラックバスがいない方が得をする人達

・漁師さん(駆除量の助成金よりも漁獲量が減って困っている人)
・行政機関(マナーの悪いバサーの巣窟としての琵琶湖よりも、伝統的な琵琶湖をアピールしたい)

ブラックバスがいた方が得をする人達

・漁師や駆除団体(ブラックバス駆除の助成金をもらっている人)
・釣り人(釣って楽しい)
・釣具店や釣具メーカー(儲かって嬉しい)
・観光業界(バサーの経済効果で宿泊施設や飲食店など釣り場周辺のお店が儲かる)

回収ボックスは本当にブラックバスの駆除に意味があるのか?

・毎日バサーが釣り上げるブラックバスはそこまで大量なのか?
バサーが多いとは言っても餌でもないルアー釣りで大した漁獲量が見込めるものでもないはずで、漁師が毎日網で取っている量に比べたら微々たるもの

・本当に駆除目的ならなぜより沢山のブラックバスを釣りあげるであろうバスボートは例外なのか?
特に力の無い一般の釣り人に対してはリリース禁止にしておいて、バスプロやトーナメンターが仕事として釣りあげたバスはリリース禁止の例外という所からしても、漁協関係の利権とバス釣り業界の利権のせめぎ合いの中でバランスを取った条例と言えるのではないか

・釣り人やキャンパーのゴミ箱と化す回収ボックスを設置するコストに見合うのか?

・外来魚回収ボックス(リリース禁止)の主たる効果は釣ったバスを殺さないと条例違反になるということを敬遠してバサーが心理的に釣り場に来なくなるので迷惑なトラブルが減るということではないか?

つまり、それくらいバサーは嫌われているのではないだろうか?

SDGsから考える地域と共存する持続可能なバス釣り振興の取り組み例

・バス用品を売って儲けてる釣具店やメーカーは自分達の売上だけを追求するのではなく、地域や社会にバス釣りが認知されて共存できるような取り組みをもっと働きかけるべきではないか?

・売り上げの一部をバス釣りの今後のために投資する取り組み(お店の売り上げが厳しいならバサーのお客さんに寄付を募るなどの方法もある。啓発キャンペーンを真剣にやるなら賛同する人も多いのではないか?)

・そもそも釣り業界が一丸となって日本におけるバス釣りの文化を守ろうという気概が感じられない(バス釣りは金儲けの1ジャンルであり、禁止になるなら他のジャンルで稼げればいいやくらいの感覚)

・料理法の開発や品種改良など、ブラックバスの水産物としての価値を見出すための取り組み(食用に適さないなら他のもので活用できないか?一般の人にも理解されるためにはできるだけ身近な活用方法が望ましい)

・バサーに対するマナー啓発の取り組み(基本的なマナーはもちろん、キャスティングスキルの向上やボート操船スキルの向上も日本のルアーフィッシング業界や釣り業界のレベルを向上させることに直結する)

・レンタルボート制度や遊漁量の普及(バス釣りをすることでちゃんとその地域にお金が落ちてお店やサービスが盛り上がる様にする)
※遊漁量については特に諸意見あると思うが、もしやるとすれば琵琶湖は海扱いなので遊漁量は取れないのでバス釣り税としてお金を取られる流れになるはず、リリース禁止にならない様に釣り業界をあげてしっかりとした呼びかけが必要ではないか?

・バス釣りを観光レジャーの一つとしてちゃんとお金を払って堂々とできる環境を認めさせる取り組みが必要

個人的に残念に思う事

私の好きな釣り人にフィッシングデモンストレーターの村田基さんがいます。

YouTubeとかを見ているとちょっとマウントをとって話すクセがあるのが気になりますが、魚種格闘技戦をはじめとして世界中で釣りをしていて新しい光景を見せてくれるし、キャスティングも喋りも上手くて番組を見ていても楽しいですよね。

単なる釣具屋のおやじではなく、本当に釣りを通じたエンターテイナーだと思います。

1980年代くらいはブラックバス全盛期で村田基さんもグランダー武蔵でジムとして登場したり、池原の60を釣って伝説になったりとずいぶんバス釣りで稼いで来たと思うんです。

でもバス釣りが外来種指定されてからはブラックバスは最も引かない魚と言ったりして、トラウトや海釣り、海外の釣りに路線変更したような印象があります。

釣具店の経営が本業なので売り上げが上がらないとやってけないので仕方ないのかも知れませんが、言ってることがコロッと変わったみたいでとても残念な気持ちに感じました。

実際に私が潮来釣具店に行った時はとても丁寧に対応してくれたので、お客さんを大事にする店長さんだとは思います。

でも、釣り業界で最も影響力のある人だと思うので管理釣り場協会だけではなくて、バス釣りに関しても同盟を組んで各メーカーを結束させるなどして、行政機関にずっと働きかけるとかしたら村田さんだったら釣り業界の皆さんも一丸にまとまるのではないかな?とか思いました。

実際にいろいろな取り組みをしてきているのかも知れないし、そんなん言うならお前がやれよって言われそうですが苦笑

力や影響力がある人はそういう感じの日本の釣りをもっとレベルアップさせていくような活動も良いんじゃないかなと思った次第です。

結論(まとめ)

ブラックバスに価値を感じているのはゲームフィッシュとしての楽しみを分かっているバサーや釣具の売り上げで成り立っている釣り業界の人達だけ

前提として、バサーは一人一人がもっと自然に対しても、制度に対してもバス釣りをやらせてもらっているという意識が必要

ブラックバスに食用魚としての価値が十分に浸透していない以上、自分勝手なバスフィッシングをしているだけではやがて市場は先細り、やがては淘汰される可能性もあるのではないか

以上、琵琶湖釣り旅行をして感じた感想と問題提起でした。

バス釣り以外にも釣りをしている人は日本の今後の釣り文化の発展のためにもいろいろ考えてみると良いかも知れませんね。

長文お読みいただきありがとうございました。

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