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インターハイ2024鹿児島県予選リポート④川内高校選手コメント

2024インターハイ鹿児島県男子代表チームとして九州大会、全国大会に出場する「川内高校バスケットボール部」の選手に話を聞きました。

副キャプテン森永滉叶

ひとつ上の兄・嵩叶(しゅうと)と共に川内高校に進み、試合経験を重ねてきた。「今季初めは何をすればいいか分からなく、ポジションも定まらず。田中さんが『(狩集)心翔、(森永)滉叶、(鮫島)颯介で1から3ポジどこでもいいよ』と」。インハイ予選では狩集を欠くアクシデントがあったが「バランスよく分担できて良かった。心翔のディフェンス、ボール運びは大きかったんですが、そのぶんチーム一丸となって戦えたと思います」。相手エースにつき「最初はフェースガードでつけといわれていたが、途中からゾーンになったりで。オフェンスは颯介が頑張ってくれたので、自分はディフェンスを」と、最後まで手を緩めなかった。「去年からの経験もある。球際の強さ、大事なところで一人ひとりが頑張れるチームになった」と誇る。目標は「全国での一勝。あと個人的にも全国大会ではなかなか得点できていないので、スコアリングも頑張りたい」と、静かな闘志を燃やす。

副キャプテン大山拓斗

大山も3つ上の兄に続き、川内に入った選手。1年時からゴール下を任されてきた。「新チームになって、先輩たちに頼っていた部分があったな、と。自分たちが中心になって戦う緊張感はずっとありました。四県対抗予選では悔しい思いをした。自分たちが思っていたようなプレーができず、気持ちの面でも足りないところがあったとみんなで反省しました」。その後、自主練習にラントレを加えて、スタミナを強化した。フィジカルで上回る相手センターに仕事をさせないのがミッション。二人、三人がかりで抑えた。「みんなでリバウンド、ディフェンス。意識を高くもってできた」。攻撃では要所でフリースローやミドルも決めた。「シュートフォームを変えて、シューティングも本数増やしました。精神力がついたのが成長したところだと思います」。心身ともに逞しくなり、最後の年を戦う。

副キャプテン鮫島颯介

昨年からスコアリーダーとしてチームを引っ張ってきた鮫島。「まずは県三冠できて良かった。ここまで個人では、波が少ない状態でこれている。ただ、九州大会、全国レベルになるとまだまだできていないな、と思います」。春の全九州高校バスケ春季選手権大会では福岡第一を相手に34点のゲームハイ。動画サイトでも取り上げられた。

反応がありましたか?と聞くと「四県本戦の延岡学園(宮崎)戦でフェースガードされて、ブカピの影響かな?と(笑)」。田中俊一ヘッドコーチも歴代エースと並べて「勝負強い」と太鼓判を押す。試合を決める一本を決めてきたのは「これまでの自主練習、出来る限り誰よりも多くすると自分に課してきたので、努力した結果」だと冷静だ。精度を高めるためシュートの打ち方を変えた。「四県予選の時はまだ完成しておらず、確率が悪かった」。現在も精度を上げられるよう練習に励む。「インターハイまでにはシュートを完成させ、サイズがなくても勝てるというところを見せたい」と、磨いたシュートを武器に虎視眈々とチャンスを狙う。

山口蒼仁

予選では狩集の代役を担った。「交代で入る練習はしてきたが、いざ(狩集)がいない、となると『ヤバいな』と緊張してきた。直後の試合では全くいいプレーができず、残りの4試合で徐々に上げてきた」という。公式戦での出場機会は少なかったが「大型連休中の川高カップで使ってもらい、田中さんから『あいたらシュート打ってこい』と。そしたら決まった。交代で使ってもらえるようになった。やることはディフェンスとリバウンドとスリーポイント。自分の役割を全うしたい」と語る。「スリーは決まらないと焦るけど、決まらなくても打ち続けないと、田中さんが結構怒るので。入る入らない気にせずに。自覚はないけど、メンタルは強いかも」。その持ち味を存分に発揮して欲しい。

新村真士

春休みの神戸遠征以降、プレータイムを伸ばしてきた。四県対抗予選では値千金のフリースローを決めた落ち着きもある。サイズのないチームにあって、その高さにも期待がかかる。攻守ともにリングに絡む仕事に加え「外からのシュートが増えた。入る時入らない時の波があるので一定にしたい。個人のスキルを上げてしっかり、フィニッシュまでもっていけるように」と成長を誓う。

小栁陽聖

1年生の小栁は2年生の三浦剛央と共に、数少ない下級生のベンチメンバー入りを果たすと、インターハイ予選ではスタートとして起用され、みごとその期待に応えた。「先輩が上手くて、自然に引っ張ってくれそうな感じがあったから」と川内高校を選んだ。心臓の強さもキャリアも、今までの川内にはいなかったタイプかもしれない。プロバスケットボールチームB2鹿児島レブナイズU15の出身、背番号58は鹿児島レブナイズに在籍していた永山雄太選手にちなんだもの。「あの明るさ、ポジティブさを見習いたい」と笑う。中学2・3年時にジュニアウインターカップに出場した経験を持ち、舞台慣れも十分。「川内にはレギュラー取るぞという気持ちで入ってきた。颯介さんみたいに九州大会、全国大会で活躍して有名な選手になり、大学につなげられたら」と、野心を見せる。「1年生なのでまだ知られていませんが、自分にできる仕事、リバウンドを頑張って注目されたい」と意気込むルーキー。

田中HC就任34年目の夏

2024年6月15・16日の九州大会は、地元サンアリーナせんだいが会場。川内は初戦、別府溝部学園(大分)と対戦する。留学生を擁する同校にどこまで立ち向かえるか。インターハイ本戦を想定し、川内にとっては試金石となる一戦だ。チームを率いる田中俊一ヘッドコーチは、家業経営のかたわら、30年以上に渡り数多くの選手を指導、川内、鹿児島のバスケットボール界に貢献してきた。その情熱は今も変わらず。バスケットボールの隆盛を感慨深く見つめる。育成した選手たちは現在、B2熊本ヴォルターズに在籍する野口侑真選手をはじめ、全国の大学、社会人チームで活躍している。


2024年6月
取材・文/泊 亜希子


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