WINTER CUP 2023 鹿児島県女子代表鹿児島高校②選手コメント
西田詠琶&山本沙奈
2022シーズンにスターティングメンバーだった2年生4人が最上級生となった今季。「まりあさんが抜けて、自覚が芽生えた。後輩が入ってきて、いよいよ自分たちが引っ張らないといけない。2年生の時に勝てたので、3年生になっても勝って恩返しがしたいという気持ちがありました」と話すふたり。
「インターハイ予選は…あんまり憶えてない(笑)。ウインター予選は自信ありました」。IHの負けで、あの悔しさがあったから、ああいう思いはしたくない、と全員が思った。夏の九州大会以後、山本とキャプテンの山下が、ケガのため2か月くらい練習できなかった。伊地知も進学に向けてチームを離れる時間が多かった。3年生で唯一、西田はチームにずっといた。「自分がチームを引っ張り、みんなもついてきてくれた。3年生がいない分、下級生の頑張ろうという気持ちが見えた。3年生が復帰して揃ったあとはチームの団結力、一体感が強まって練習の雰囲気が凄く良かったですね。いい調子のままウインターカップ予選に行けました」
整った顔立ちに、気づけば青たんができている。「自分は小さいので、相手は大きい人ばかり。怖がらずに跳ぶしかない」という西田を、ニコニコと見守る山本。試合中は「あまり表情に出ないかもですね」という、ポーカーフェイスの努力家だ。
西田「自分たちのほうが気持ちは強いと思うので、絶対に一勝以上して、鹿児島に帰ってきたい。全力で楽しんできます!」
山本「去年から全国大会、九州大会と大舞台での経験を積んできた。この経験を生かしたい。ウインターカップが本当に最後の大会になる。今までのバスケ人生をすべてコートに置いてくる気持ちで、40分間戦いたい」
福迫萌衣&鮫島ひより
鮫島「楽しいよりもキツいことのほうが多かったけど、その分、勝てた時の嬉しさ、チームメイトとの絆が深まった3年間でした。去年のウインターカップ本戦では出場機会がありました。プレータイムが少ない時でも、ベンチで声を出したり、出ている選手が動きやすいようにサポートしてきました。今年は少しでも出られたら、3年間やってきたことを出し切りたい」
福迫「入学した時から、今のメンバーが揃ったときに「勝てるな」と思っていた。厳しい部則、厳しい練習を乗り越えてきたからこそ、今のようなチームになれたと思う」。夏の九州大会を最後にプレーヤーは引退し、学生コーチとしてチームを支えている。「選手としてやりたいことはやりきった。今後、バスケットには審判などで関わりたい。最後の大会、関わり方は変わったけれども、やり残すことがないように、後悔のないように、庵下先生、メンバーとコミュニケーションを取りながら、全力で声かけしたい」
澁谷海里&松原百合菜
スターティング5に唯一2年生で名を連ねる松原。鎌田から8番を引き継ぎ、上級生にまじってプレーし始めた当初は、表情にも緊張感が浮かんでいた。「プレッシャーはありました。3年生が引っ張ってくれて、ついていくことしかできなかった。得点がとれない分、リバウンド、ルーズボールを頑張っていました」。夏に転機を迎える。「先輩に頼りっぱなしじゃだめだ、と。リバウンド、ディフェンスも頑張りながら、リングに向かう気持ち、オフェンスでも貢献したい」と積極的にプレーすると、結果もついてきた。
「マッチアップは自分より大きな相手になる。ハードワークして、ボックスアウトをきっちり頑張りたい。今まで頼ってた分、自分が3年生を一勝させるという気持ちで、一試合でも多く一緒に試合がしたい」
ウインター予選決勝では、シックスマンとして高さが欲しい場面で活躍し、ヘッドコーチの期待に応えるプレーを見せた澁谷。「最初は緊張したが、スタンドのみんな、ベンチのみんなに声をかけてもらい、自分もやるぞ!と自信をもってコートに立つことができた。3年生とやれる最後の大会、一試合一試合がとても大切な試合になる。交代で出たら流れをチームに持ってこれるように、全力で楽しんでプレーしたい」
牧之瀬七葉
2022年の全中鹿児島県予選準優勝の松元中から鹿児島高校に進んだ牧之瀬。ジュニアウインターカップ予選ではLinkクラブチームのエースとしても活躍した。「チームの雰囲気が良かったのと、勉強面でも環境が充実している」と鹿児島高校を選んだ。入学後、四県対抗予選からプレータイムを得る。「上級生が優しく対応してくださった。試合に出られないメンバーも、応援してくれます。いい先輩、同級生に恵まれている」と、上々のスタートを切った。
「正ポイントガードの伊地知さんが進学準備で練習に来られない時の遠征、夏合宿でスタートから出させてもらい、成長できた」と自信をのぞかせる一方で「ウインター予選決勝は正直、思うようにプレーできなかったから、悔しさのほうが大きい。この悔しさを全国の舞台で晴らしたいです!」と目を輝かせる。
全国の舞台は初めてという牧之瀬。「松元ミニバスの時に全国大会の切符をつかんだが、コロナ禍で行けないという悔しさを味わった。初となる大舞台、3年生とできるのも最後になる。楽しみつつ、しっかりと一勝を、県勢として勝ち取りたい」。怖いもの知らずのフレッシュさに期待したい。
伊地知優果&山下陽色キャプテン
伊地知「県優勝で満足していた部分もあったが、大会後一か月が経ち、全国で勝てるチームになりたいという思いで、気合いを入れて頑張っている。自分たちの走るバスケを出せれば、勝機がある」
「3年生の7人が、ひとつになる時間が持てたことが一番うれしい」としみじみとした表情でぽつりと語ったのが印象的だった。「入学した頃はベスト8くらいから、自分たちの代で優勝まで昇りつめることができた。3年間で3度の全国大会出場という結果を出せて良かった。本戦では5人で一体となるディフェンス、仲間を生かすパスも出したい」と、意欲を見せる。
山下「本戦に向けて全員がひとつになって、練習も一生懸命、いい雰囲気で出来ている。(対戦相手も決まり)身長、フィジカルでは相手が上。自分たちのやってきたバスケをしっかりやれば通用すると思うので、初戦を大事に、絶対に勝って帰りたい。中学校から一緒だったメンバーもいるし、鹿児島高校3年間の集大成となる。庵下先生にも、応援してくださる方々に対しても、しっかり自分たちのプレーで恩返ししたい」
インターハイ予選の負けは、チームがひとつになっていなかったから、と語る山下キャプテン。「自信より不安が大きく、見事にやられたなという感じだった」と切り替えた。「一人ひとりが自立していなくて、リングアタックをするのも決まった人ばかり。しっかり反省して、自分たちがダメだったところを出し合った。夏の練習で3年生がいない時期に下級生が自立した。リングに向かう姿勢を持ち、全員が自信を持って戦えるようになったのが大きい」。チームの変化、たしかな成長を感じた。「3年生はそれぞれ進路の準備があるなか、西田がずっと合宿にも参加して、引っ張ってくれた」と感謝する。常に真剣、時には涙も隠すことなく、感情を表に出してキャプテンシーを発揮してきた山下。「自分も1年生の頃はチームに貢献できていなかった。上級生になり、キャプテンとなり、自分がチームを引っ張るんだという一心で頑張ってきた。苦しい時もあったが、チームで協力しあって、いいチームになることができたと思う」。絶対に一勝以上して、帰ってきます!と力強く宣言すると、伊地知とふたり、笑顔がこぼれた。
2023年12月
取材・文/泊 亜希子