2023U18バスケットボール九州大会 Recap
令和5年3月18日19日に開催された「第53回 全九州高等学校バスケットボール春季選手権大会(2023特別国民体育大会 燃ゆる感動かごしま国体 バスケットボール競技 リハーサル大会)」。男子は福岡第一、女子は東海大福岡の優勝で幕を閉じました。ビーラインスポーツパーク姶良体育館にて開催された18日男子Aパートの試合、19日男女準決勝、決勝、順位決定戦を観戦、Q経過、結果速報をLINKのTwitter(@LINKSPORTS1201) にて行いました。
公式記録は鹿児島県バスケットボール協会ウェブサイトの特設サイトをご参照ください。https://kagoshima-basketball.jp/2023_hs_spring_allkyushu
新年度を控えた各チームの様子がうかがえ、期待が高まります。「九州大会の決勝は全国の決勝」の言葉通り、男女ともにハイレベルな試合が展開された2日間。観戦したゲームを中心にリポートします。
18日:Aパート男子1回戦
優勝候補の福岡第一は初戦で柳ヶ浦と対戦。終盤まで競り合いながらも、最後は12点差をつけて勝利。れいめいvs瓊浦は4Q終わって72-72と決着つかず、2度のオーバータイムへ。れいめいは、FTを1本決めていれば、というシーンがあったが、その後も粘りを見せた。れいめい#41吉原はスリー、ドライブと試合終盤でも高い得点能力を見せ、ガード陣を中心に労を惜しまないディフェンスで瓊浦のスピードと高さのある攻撃に耐えた。最後は力尽きたが、悔しさと共に得たものも大きいゲームになったと思います。
ちなみに、瓊浦は「けいほ」と読む長崎の高校。川内(せんだい・鹿児島県)や足羽(あすわ・福井県)など、バスケ関係者だから読める校名も少なくありません。。
18日:Aパート男子2回戦
九州学院と延岡学園が2回戦で激突。LINKクラブチーム1期生として、Jr. ウインターカップに出場した#13田中(清水中→九州学院)、#9永徳(れいめい中→延岡学園)の対戦でもあったが、開始直後に田中が負傷退場。前半は九州学院がリードして折り返したが、速攻を仕掛ける延岡学園が勢いに乗り、3Qで逆転。30点差をつけて準決勝に進出した。
別府溝部学園に挑んだ川内は、1Qを3点リードで終える上々の立ち上がり。前半37-30と7点ビハインドで迎えた3Q、引き離しにかかる別府溝部に離されまいと食らいつく。川内#24鮫島は初戦の好調をこのゲームでも維持し、ミドル、ファウルを取ってFTを決めるなど、苦しい場面でチームを引っ張った。試合には敗れたが、2022年南九州四県対抗本選での対戦に続く対戦機会を得て、留学生がいるチームとの戦い方にも慣れてきた印象を受けました。
福岡第一と福大大濠は力の差を見せ、準決勝に進出。両チームともセカンドユニットと総替えできる選手層の厚みがある。ここ数年、福岡第一は速さ、福大大濠は高さをチームカラーとして誇ってきたが、今季はそれぞれ高さ、速さの上乗せを目指す。局面に応じて投入する選手、ユニットを変えながら、今季の戦い方を模索している段階、なのだと思いますが、、強いです。
19日:女子準決勝、決勝
鹿児島は開催地の県勢で唯一、勝ち残った。スタートには昨シーズンから主力の2年生が4人いる。2022年インターハイ、ウインターカップともに3位に入り、全国の強豪校に名を連ねる東海大福岡に挑んだ。序盤、鹿児島は上手くゲームに入り、得点を重ねて先行。一方の東海大福岡は高さ、速さを繰り出し、すぐにリードを奪う。東海大福岡のディフェンスの圧は凄まじく、これが全国レベル!と感じるものだった。それでも鹿児島は要所でスリーを決めるなど、前半8点ビハインドで付いていった。後半開始1分で東海大福岡が6-0のランを作り、鹿児島はすかさずタイムアウト。ゲームはやや膠着状態となり、攻めあぐねる鹿児島は相手に走られる展開に。4Qに入ると東海大福岡はフレッシュな選手をコートに送り込み、鹿児島の体力を奪っていく。最後まで攻守の手を緩めなかった東海大福岡が勝利した。ゴール下で体を張り続けた鹿児島のキャプテン#4山下は、試合最終盤にファウルアウト。ベンチに戻ると悔しさに涙が溢れた。
つづく順位決定戦では精華女子に敗れ、福岡勢の壁の厚さを痛感した。正直、これが1試合目であればもっと良いゲームができていたかも…と、準決勝戦の消耗を思わずにはいられなかったが、それは相手も同じ。いずれにしても鹿児島が「全国で勝つチームになる」という覚悟を見せた2試合だった。前年王者として臨む今季、そのスタイルに磨きをかけていくはずだ。
決勝の東海大福岡、慶誠の両校が留学生を擁し、女子チームの留学生も珍しいことではなくなってきたことを実感。東海大福岡は2022ウインターカップで女王・桜花学園を破り、さらに劇的な勝利だったことで注目を集めた。華のある魅力的なプレーヤーが揃っていて、さすが強豪校だなと思わせる。#7浜口、#10伊良部ら、爽やかな印象を残した。#15伊東は2021年、薩摩川内市サンアリーナせんだいで開催された全中九州大会に折尾中メンバーとして出場。拝見しておりました。東海大福岡は全国の頂点を獲りにいくシーズンとなるでしょう。
19日:男子準決勝、決勝
男子準決勝の頃には、観客席は満員御礼。ビーラインスポーツパーク姶良体育館はユニークな造りになっていて、スタンド席は片側のみ。今回は学校応援席がコートフロアに設営されました。
男子準決勝は福岡第一vs延岡学園を観戦。延岡学園が昨日の勢いで、どこまで福岡第一に迫れるかに注目した。序盤からエナジー全開のトランジションゲームに。目まぐるしい攻防に、ゴール下ではブロックが炸裂した。この走り合いを制したのは福岡第一。前半終わって46-21とダブルスコアをつけ圧倒すると、後半は選手を入れ替えながら終始、リードを保った。準決勝もう1試合はロースコアゲームを大濠が勝ち切り決勝進出。福岡第一と大濠は福岡県新人戦の決勝以来、九州一位の座をかけて戦った。
スタートは、福岡第一#1、#17、#41、#51、#76。福大大濠#4、#7、#10、#12、#14。ティップオフ後、大濠は#5、#6、#8、#9、#13に早めに交代し、第一は#77、#96を順次投入。高さに分がある大濠が押し気味にゲームを進め、第一はオフェンスリバウンド、外からのシュートにやや苦しむ状況。前半は大濠が1、2ポゼッションのリードを保ち続け、27-31で終了する。
後半に入っても、五分の勝負が続いたが、じわじわと福岡第一が追い詰め、3Qに入りこの試合初めてQでのリードを奪う。4Q残り7分台、第一#51のサー・シェッハが相手陣でのスティールから走り、ダンクで得点。コート上の選手はもちろん、観客も虚をつかれた。今までの留学生プレーヤーといえば、インサイド、ゴール下、ポストプレー、リバウンド…だったように思うが、より主体的で積極的な、意志の表れたプレーだった。
4Qに入っても緊張を保ったまま、一進一退の攻防が続く。大濠#7岩下、#13湧川、#14髙田が前評判通りの輝きを放つなか、トップギアに上げてきたのが第一の#17崎濱だ。コート上の誰よりも経験値を持つエースは、煮え切らない自分のプレーに自ら喝を入れるかのように、敵陣に切り込んでいく。ファウルを受けながらも決めたシュートでついに逆転。大濠も粘り、残り1分強で4点差、タイムアウト後にフロントコートを選択。ここで得点できなかったのは痛かったが、#13湧川渾身のスリーで1点差に迫る。手に汗握るもつれたゲームの最後は、#17崎濱からきれいにパスが通り、#51サー・シェッハのダンクで勝負あり。65-62で福岡第一に軍配が上がった。
第一は#44アピアパトリック眞を負傷で欠く布陣だったが、押し込まれたゲームでも最後に寄り切る底力を見せた。一方の大濠は、福岡県新人戦決勝から、かなり点差を詰めてきた。多くの選手を起用し、この2日間だけでも各選手の成長があったように見える。チームはまだまだこれから。高校バスケ界をリードする両雄に、素晴らしいゲームを見せて頂きました。ありがとうございました。
実を言うと、福大大濠の川島悠翔選手を見たいな、というのもあったんですが、報道によると、川島選手はチームを離れ、オーストラリアにあるNBAの若手養成機関グローバル・アカデミーへ加入するとのこと。見ること叶わずでしたが、目標に向かって羽ばたく選手を快く送り出すチームのあり方に、拍手を送りたいです。
なお、この2チームによるBリーグ前座試合が2試合、予定されています。
4月2日(日)ライジングゼファー福岡vs香川ファイブアローズ
4月16日(日)熊本ヴォルターズvs佐賀バルーナーズ
2023燃ゆる感動鹿児島国体のリハーサルを兼ねて、2日間、4つの会場で試合が行われた今大会。バスケットボール競技は成年男女が姶良市、少年男子は薩摩川内市、少年女子と車いすバスケットボール(身)が、いちき串木野市でそれぞれ開催されます。今季の高校バスケは4月の南九州四県対抗予選を皮切りに、四県対抗本選、インターハイ予選・本選、国体開催をはさんで、ウインターカップ予選・本選へと進んでいきます。コロナ禍を経て、スポーツのシーンも以前のような活況を取り戻しつつある現在。その様子を少しでもお伝えできれば幸いです。
取材・文/泊 亜希子
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