インタビュー:学生団体HIDAKKO PROJECT.(ヒダッコプロジェクト
【紹介文】
こんにちは♬
ライターのMEGUです。
“中高生の力で飛騨高山を面白くする”をテーマに活動している飛騨高山初の学生団体、
HIDAKKO PROJECT.
高校生目線でのフリーペーパー“HIDAKKO”を作成し、その活動を通して飛騨高山の地域活性にも貢献しています。
この団体の立ち上げをし、3期代表も務めた鈴木日菜子さんのインタビューをさせていただきました。
取材に行かせていただいたのは
2017年の秋。
大学生になった彼女は、現在もたくさんのミラクルを起こしつづけています。
さあ、
大人の皆さん。
私たちも、
負けていられませんよ♬
(本文は、当時のものに加筆修正を加えています)
photo by Hiromi Watanabe
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~生きたいと願う人生を生きることに、
年齢は関係あるのか?~
学生団体
HIDAKKO PROJECT.(ヒダッコプロジェクト)
゚・:.。. .。.:・゜
ーーー私は今、
この国の未来そのものと向き合っているのだなと、感じていた。
向かい合っている人物は、
学生団体
HIDAKKO PROJECT.の発起人でもあり、
3期代表の鈴木日菜子さん。
高校2年生。
今回はこのプロジェクトの紹介もあわせてさせていただくことになった。
「このプロジェクトの名前にある“ひだっこ”は、飛騨の子どもって意味です。飛騨の子どもがやっていることだし、地元に根付いた団体にしたいという思いがあったので、この名前にしました」
HIDAKKO PROJECT.は、
2016年8月に発足した「飛騨初の」学生団体。
「中高生の力で飛騨高山をもっと面白くする」
をテーマに掲げ、熱い情熱で地元の中高生を触発するべく、フリーペーパー「HIDAKKO」の発行やイベントの開催などの活動を行っている。
フリーペーパーの読者として対象になるのは、中高生。
「大人は?」
と聞くと、
「読んでもらえたら嬉しいです」
と、はにかむような笑顔を見せてくれた。
この、突如現れたプロジェクトは、現在も多くの大人をも巻き込みその活動を拡げている。
フリーペーパー発行に向けて編集作業も大詰めというこの日、作業の場所で取材も並行することになっていた。ひとり、またひとりと、制服姿の学生が現れる。
日菜子さんにはこのプロジェクトの代表以外に「第一最優先」と本人も言うところの学業がある。
更に生徒会長をやり、平日はフルに部活に励み、塾にも通う。
どうして「今」、この活動を始めたのか?
突き動かす想いの正体を知りたいと思った。
「きっかけは?」
「はい。中学生のころ、起業してみたいなって思ったのが始まりでした」
「起業???」
「はい。テレビで見て。でも、その時は現実的に色々難しいなと思いました。そうしたら、学生団体っていうものがあるってことを後から知って。
自分の夢を今、形にできる手段があるんだって思ったんです」
「今」、形にすることができる。
その言葉から、なぜ今なのかではなく、
「今だからやるのだ」
という強い意志が感じられた。
その、彼女に内側で芽生えた思いは、
「誰かに伝える」
というアクションから、一気に加速する。
「高山出身の面白い大学生がいるって聞いたんです。丸山純平さんという方です。どうしようかなぁ~~って迷ってたんですけど、丸山さん主催のイベントがあるって聞いて会いに行くことにしました。
そうしたら、丸山さんから開始1時間前に何かやりたいこととかあるんなら、飛び入りでプレゼンしてくださいって連絡が来て」
「やったの?」
「はい。学生団体について思うことを話しました。
それまでは人前に立つような自分じゃなくて、学級委員とかやりたくても立候補すらできないような自分だったのに……」
ひとは、常に自ら設定し、制限した範囲の自分を生きている。
自分でどちらとも決めているのだから、
それを変えられるのもまた、自分だ。
彼女は、そこで自分の設定と制限を鮮やかに飛び越えた。
「やってみて、どうだった?」
「なんか凄かったです。そこにいた大人の方たちが頑張れよ。力になるよって言ってくれました。すっごく嬉しかったです」
なりふり構わず、
未知の世界にダイブする。
その行動が、勇気が、彼女に「他力」という大きな力をもたらした。
「そのあと丸山さんから提案をいただいたのがフリーペーパー作りです。いろんな人に思いが伝わるし、地元のことが知れるからいいって。
そこからずっとサポートしていただいてます」
HIDAKKO PROJECT.初期メンバーは当時高校1年の日菜子さんと3年井ノ下朝陽さんの二人。
井ノ下さんが代表となり、活動がスタートした。
一からフリーペーパーの作り方を習い、
パソコンと格闘。試行錯誤の末に「HIDAKKO」vol.1,500部の発行をやり遂げた。
それからメンバーは4人になり、
1期メンバーが抜けるタイミングで更に募集をしたところ2期メンバーは14人に増員。
2期代表瀬ノ上紗帆さんを中心とし、新しい企画を盛り込んだ編集作業にも一丸となって取り組み、協賛を得るために企業を訪ね歩くなど、精力的に動いた。
vol.2の発行部数は10,000部。
そして現在、
代表のバトンは日菜子さんに繋がれた。
現在のメンバーは、全部で8人。
この日行われていた編集作業には代表の彼女の考えも大きく関わってくる。
「うんうん」
と相手の話を熱心な相槌を打ちながら最後まで聞き、きちんと自分の思いも伝え、より良い結論を目指すような会話の展開に、思わず聞き入ってしまった。
プロジェクトを推進することで彼女はどんどん進化し、そんなコミュニケーションの技術も身に付けたのだろう。
そのことは、
他のメンバーも同様である。
プロジェクトに関わる前と現在の自分の変化について尋ねると、自分が成長できたこと、周りを見るようになれたこと、見える世界が変わったことを語ってくれた。
特に、
「飛騨に暮らす人に触れあうことで、この町が好きになりました」
この言葉を、全員が挙げた。
町とは、物ではなく人である。
自ら歩き関わりを求め、
「そこに暮らす人」
の温かさに触れることで、フリーペーパー「HIDAKKO」もまた、飛騨への愛が詰まったものになった。
「これまでたくさんの方々が支援してくださいました。飛騨にはたくさんの素敵な大人がいるということを知りました。前は買い物できるところもないし早く出たいと思っていたけど、いま飛騨がほんとに、好きですね」
好き。
その日菜子さんのシンプルな言葉は、
飛騨に住む私にとっても、
嬉しいものだった。
日菜子さんに、
HIDAKKO PROJECT.の
これからについて尋ねてみた。
かつてはやりたいことに挑戦することができなかった彼女が、これだけのことを成し遂げたいま、未来になにを想うのか。
はじめは緊張気味に見えた彼女は、
自分の前に両手を組み合わせ、
力強い口調で話しはじめた。
「HIDAKKO PROJECT.は、フリーペーパーを作る団体ではないです。これはひとつの形であり、手段です。パソコン作業ばかりで楽しくないと感じているメンバーもいるかもしれませんが、この活動からいちばん影響を受けて変われるのはダイレクトに関わっているメンバーです」
「うん。そうだと思う」
「私たちがこういう活動をしたり夢を叶えていく姿を伝えることで、中高生の皆さんにも
夢はいつからでも実現できるんだって思ってもらえるような団体にしたいです。
そのためにひとりひとりの夢を叶えるような企画もやってみたいです。プロジェクトに関わることですごくいい経験がでるから、
メンバーにはこの先も引き継いで行ってもらえたらなと思います」
誰の中にもやりたいこと、心の中に眠る夢がある。
それを引き出したいと、日菜子さんは言った。
「中学生なら高校受験、高校生になったら大学受験……。そうなりがちですが、その一本線しかないのは、嫌だなって。もっと本当は色々なことができるし、私は夢は大人になってから叶えるものじゃないと思います」
ーーー夢は大人になってから叶えるものじゃない。
書き留めたこの台詞を、
私は何回も丸で囲んだ。
確かに
今を次のステップの準備のために使い続けたら、
一体「今」という時間はいつ訪れるのだろう。
中学生の頃に「今は難しい」と挑戦しなかった自分を彼女は悔いて、やらない後悔よりやる後悔を選んだと言った。
そしてこれは、
中学生・高校生に限った話ではない。
「まだ早い」
と先送りしたものはいつの日にか
「もう若くはないから」
にとって代わるのではないだろうか。
願うことを実現したいと思うとき、どの世代にも
年齢なり、環境なりの、
「それを阻む障害」
があるだろう。
しかしそれを数え始めたらキリはないのだ。
ーーープロジェクトに関われる期間は、短い。
更にその先の自分の夢についても、
話を続けてもらった。
「学生が主体となって何かをやりたいって思いを持つ中高生は飛騨以外にもいると思うので、
他の場所にも拡げていけたらと思っています。
世代を問わずやりたいことをやれるひとを増やして、形にできる町を増やしたいとも思います。
形がたくさんできたら今度はその形と形を繋ぎたいです」
そう、
夢を語る彼女はとても輝いていた。
これから先、挫折もあるかもしれない。人一倍、
涙を流すのかもしれない。
しかし、
その強い意志の前に、
必ず道は開かれるだろう。
彼女たちは、
「若いから」
それをやるのではない。
「やりたいことを今やる生き方を選択した」
からこそ、そこに向かえる締め切りを設定し、
一歩一歩着実に進んでいくのだ。
「ありがとうございました!!!」
取材終了を告げると、
日菜子さんは満面の笑顔でお礼を言い、
メンバーのもとに向かった。
生きたい人生を生きるのに、
年齢は関係あるのか?
その答えは、
スッキリと出た。
「NO」だ。
HIDAKKO PROJECT.
飛騨の子どもたちは、
夢に向かって走り出している。
その姿は、
たくさんの人の心を打ち、
動かし続けている。
゚・:.。. .。.:・゜
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