株式会社リストラ【ショートショートnote杯】
どちらか社員を一人、解雇しなければならない。
それが社長から命じられた、私の仕事だ。
リストラ候補の一人、高橋邦夫は57歳。
海外仕入れ部署の責任者だ。皮肉にも、孫手作りの「肩たたき券」を大事にデスクに飾っている。
もう一人は、森本修、59歳。母親の介護をしながら仕事を続けている。入社以来、経理一筋。会社の金の流れはすべて把握している。
二人とも会社に貢献してきた大ベテラン。
なぜ、社長は仕入れと経理の責任者を急遽リストラ候補にしたのだろうか・・・・・・。
「はい、警察です。全員パソコンから離れて」
社長が逮捕された。
社長は、社名にもなっているリスと虎のキャラクター人形「リストラ」の中に紛れ込ませる手法で、リスの剥製や漢方薬用の虎の骨を、中国から違法に輸入していたらしい。
後ろから、不意に肩をたたかれた。
「返品の件、よろしく」
社長逮捕の一報を受け、販売店の陳列棚では、株式会社リストラの「リストラ」のリストラが始まろうとしていた。
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※ショートショートnote杯参加作品(409字)