僕が経験した「ブラック企業」のことを話そう
おはようございます。ひらっちです。本当に雨がすごい…。私が住んでいる場所は幸いにも無事ですが、僕も農業を通じて日々自然の恐ろしさを痛感しております。特に九州のみなさん、早めに避難するなど、くれぐれもご自身の命を大事にしてください。ご無事を心からお祈りしております。
<いつもの簡単な自己紹介です>
僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。
このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。
■社会1年目からの「ブラック企業戦記」
どうも、ひらっちです。今日はちょっと趣向を変えて、僕の過去について書いてみたいと思います。
プロフィールをご覧いただいている方はすでにご存知かもしれませんが、僕の社会人すごろくの大事なふりだしは、「ブラック企業」でした。
今でこそ笑い話ですが、人材業界で活躍している高校時代の友人にこの話をしたら、「え? ○○に就職したの? だって当時からブラックって超有名だったじゃん!(笑)」という反応が返ってきました。
そうです、思わず(笑)と付いてしまうぐらいの「有名ブラック企業」だったのです。僕が就職した段階でも、大学の就職課に相談すると「あの会社は辞めておいた方がいい!」と全力で止められるぐらいのレベルだったみたいです。
僕は当時、地方国立大学のゆるーい大学生でしたから、そんなことに全く気づく気配もなく…。その会社の出版物を見つめながら「将来は本を作る仕事がしたい!」と熱弁する純粋真っ直ぐな僕は、「もちろんできるよ!夢に向かって頑張ろう!」と胸を張って語る人事担当者に背中を押されるがまま、その会社に就職することを決めてしまったのです。
今考えれば、本当に浅い考えで就職活動をしていたと思います。ネットがほぼない時代でしたから、今みたいに自分で調べる術がなかったというのも原因ですが、それでも無知すぎたと思います。
■「すみません」「結構です!」「うちはいらないよ!」「帰れ!」…
こうして晴れて?「ブラック企業」に就職したひらっち青年。当然ながら、人気職種である本の編集者としていきなり働けるわけはなく、最初の仕事は「営業」でした。当初から「1年半は営業を勉強してもらうよ」と言われていたので覚悟はしていたのですが、これがとんでもない営業だったのです。
主力商品は「学習教材」でした。だから出版物の編集の仕事もあったんですね。営業の仕事は、その教材を販売することです。しかも販売ルートが決まっているわけではなくすべて新規の飛び込み営業です。
訪問先は一般家庭。そうです。すべて訪問販売で売るという、今では絶滅危惧種となりつつあるオールドなビジネススタイルだったのです。
大学時代、人と話すことは問題なくできても、とりわけ社交的というわけではなく、決して営業向きな性格だとは思っていませんでした。
見知らぬ住宅のインターホンを押し、そのまま営業トークを展開するわけですが、当然ながら返ってくるのはほとんどが断り文句。
「すみません…」
「結構です!」
「うちはいらないよ!」
「しつこい!」
「警察呼ぶよ!」
当然、お客さんが悪いわけではありません。いきなり訪問してきて、高額教材を販売するわけですから、断って当然です。今の僕でもそうします。それは分かっているんですが、そのうち会社ではなく、自分が悪いことをしているように感じてくる。メンタルがやられて退社する人が続出しました。
支社に戻ると、オフィスに響く上司の怒号。「なんで契約を取れずに帰ってこれるんだよ!」。契約ゼロが何日も続くと、本当に帰れることができず、深夜近くまで住宅地を流浪していたこともあります。今ならパラハラで一発アウトなことも平気で行われている時代でした。
■ブラック企業の暗黒時代があるから、大変なことでも頑張れる
社会人1年目からすごい経験をした僕ですが、「ブラック企業」に入ったことは、結果的によかったんじゃないかと今では思っています。(…思い込んでいます、が正解かもしれませんが)
凄惨なブラック企業の職場を経験したことで、僕が持つ「幸せの基準」は大きく下がりました。もちろん、こんな経験をする人は少ないと思いますが、それでも世の中には理不尽なこと、納得できないことはたくさんあります。でも、僕の場合、最底辺からスタートしたので、あとは上るだけだった。過酷な編集作業や、徹夜の執筆も、苦労だと思うことなくガムシャラに頑張れたんだと思います。
結局、2年ほどでその会社を辞めましたが、当時の仲間とは今でも一部と繋がっています。大変な出来事を一緒に味わい、乗り越えてきたからこそ、20年近く経った今でも繋がっていられる気がします。やっかいな新興宗教みたいに「抜けるに抜けられない状態」になる可能性もあるので危険ですが、それでも仲間との繋がりは、楽な仕事よりも強くなったと思います。
何よりよかったのは、徹底的に営業を鍛えられたことです。個人宅の訪問販売、法人への飛び込み営業、テレアポ…など、とりわけ新規開拓に特化した営業手法を一通り経験できたのは、その後の大きな財産になりました。
僕がライターをしているのも、営業経験があったから。ブラック企業を辞めた僕はその後、「営業ができます!」といって小さな出版社に入社します。そして「自分が契約してきた広告の制作は自分でやらせて欲しい」と、コピーの書き方、デザインの基礎などを勉強していくことになるのです。
■まとめ
というわけで、かなりのダイジェスト版ですが、僕が体験した「ブラック企業」のお話はこんな感じです。
このnoteをご覧の方の中には、今まさに「ブラック企業で苦しんでいる」という方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、理不尽なしごきを受け、体を壊したり、メンタルがやられてしまうようではいけない。すぐに退社しましょう。
僕も、辞めると決めたら「今日辞めます」と上司に言いに行き、翌日には出社しませんでした。「私がいなくなると…」なんて心配はご無用。悲しいですが、しばらくしたら「自分は単なる歯車の一つだったのね」と痛感するだけのことです。
でも、しばらく続けようと考えている人にだって、それなりのメリットはあると思います。これは僕の個人的な感想ですが、ブラック企業で働くなら、あそこはキツイと名の知れた「有名ブラック企業」を選んだ方が得策です。僕がすんなり転職できたのも、面接の時に「ああ、あの○○ね、あそこは厳しいって有名だからね」と話が盛り上がり、採用に至りました。
人生、何がうまくいくかは分かりません。それでも、起こった出来事をプラスにするのか、マイナスにするのかは、すべて自分次第だよ、というのが今日の結論です。
<おすすめ参考図書>
■狭小邸宅
今日は小説です。不動産会社に勤務する営業マンのお話。ブラック企業の日常がリアルに描かれていて、20年ほど前の暗黒時代の記憶が蘇る作品です。今まさに営業の現場で苦しんでいる人は、「あるある!」とか、「うちはここまでじゃないな」とか、いろんな意味で楽しめると思いますよ。