月がきれいですね episode1.髪を短く切った彼女_中編【シナリオ案】#テレ東ドラマシナリオ
「#テレ東ドラマシナリオ」のテーマに選ばれた大麦こむぎさんの「月がきれいですね」からプロットを少し書き、episode1だけでも執筆してみようと思いまとめました。
▼episode1.髪を短く切った彼女_前編のシナリオ案はこちらからどうぞ!
episode1.髪を短く切った彼女
【シナリオ】
〇学校 教室 朝のHR前
田中「おーい、林?大丈夫か、ぼうっとして?」
健太「(田中の話を聞いてない)・・・・・・。」
田中「ああ、こりゃダメだな......。そんなに連絡取りゃいいのに。おーい!渡邉、ちょっと聞きたい事あんだけど、いいか?」
香奈「ちょっと、何?今美月にLINEしてるんだから、手短にね!」
健太「え、渡邉?佐倉と連絡とってんのか?!」
田中「お前さっき俺の話聞いてなかったよな?(怒)」
香奈「そりゃ、親友ですもん!あれ?ってか林君、美月と連絡取ってないの?」
健太「LINEしてるけど、返事が返ってこないんだよ......。」
香奈「なるほど、相当落ち込んでんのかな。あれ、美月のせいじゃないのになあ。」
田中「?何の話?」
香奈「えっと、こっちの話!!って、美月?!」
教室に美月が入ってくる。美月に駆け寄る香奈。
美月「香奈ごめんね!心配かけちゃって!」
香奈「心配するわ!当たり前でしょ、それより、香奈……、またバッサリ髪切ったね!」
美月「なんかイメチェンしたくて……。似合ってないかな?」
香奈「(察したような顔で)ふふっ、似合ってんよ!あとで、いろいろ話聞かせてね♪・・・、あと、おーい!林君!田中君」
美月「え、なんで林君達呼ぶの?!」
香奈「美月が休んでたことめちゃくちゃ心配してたから!」
健太、田中も美月のほうに向かってくる。
健太「佐倉、お前もう体調なのか?」
美月「うん、心配かけてごめんね……。」
田中「よかったよ、元気そうで!林なんてめちゃくちゃ心配してたから!ところで髪切ったんだね?」
健太「そうだよ、なんで髪切ったんだ?頑張って伸ばしてたじゃん昔から。」
美月「それは……、イメチェンかな?」
× × ×
〇1日前 美容院(美月side)
美容師「こんなにきれいな髪なのに、ここまで伸ばすのも大変だったんじゃない、本当に切っちゃっていいの?」
美月「はい、イメチェンしたくて……。」
美容師「そっか。分かりました!最高に可愛くしてあげるから!」
美月「はい、ありがとうございます。」
美容師「はい、できました。うん!やっぱショートも似合うね♪これから大学生になるんだし、良いタイミングでイメチェンしたんじゃない?どうかな?」
美月「私、今まで髪短くしたことなくて……、なんか新鮮です。」
美容師「お友達が見たら、キャー似合ってるって言ってくれるんじゃない。あ、最近の若い子のテンション分かんないんだけど……。」
美月「ふふっ、本当にありがとうございます!なんだかすっきりしました!明日学校行くの楽しみです!」
× × ×
〇学校 教室 昼休み(健太side)
田中「佐倉さん、随分とイメチェンしたね…。おーい、林?聞いてるか、・・・聞いてないな。はあ、仕方ないな」
健太「(佐倉なんで、イメチェンしたんだろ。今までできるだけ髪伸ばしてたのに)」
田中「そういえば、林に聞きたいことあったんだけど、佐倉さんのこと振ったの?」
健太「(ぼうっと頷く)うん……、?!はい、え?なんのこと?」
田中「いや、佐倉さんに告白されたんじゃないの初詣の日。」
健太「え?」
田中「そんで林が振ったんじゃないの?あれ、その様子だと違うのか……?」
健太「待て待て待て、話が見えない。誰が誰に告ったって?」
田中「だから佐倉さんが林に告って、林が振ったんじゃないの?」
健太「まじ?」
田中「じゃなきゃ、イメチェンしないだろ。普通こんなくそ寒い冬にわざわざ髪切るか?もうすぐ大学生になるんだし、春休みでもよかったじゃん。あれ?これ二人の間で、どういう状況になってんの」
健太「俺はあの日、話があるって言われて行ったんだけど、なんか佐倉が体調崩しちゃって、慌てて人呼んできたりで、あの日大変だったんだよ。」
田中「直前まで普通に元気そうだったじゃん。なんか言っちゃったんじゃないのか?」
健太「なんも言ってねえよ。なんか話している時に急に空が明るくなって、その後佐倉が体調崩したんだよ。」
田中「・・・、ああ、俺なんとなく分かった。状況察した。そりゃお互い悪くないよ。タイミングが悪かっただけ。」
健太「何の話だ?一人で納得すんなよ。」
田中はスマホで何かを検索し始める。
田中「林は少しバスケ以外のことも関心を持ったほうがいいよ。”言葉狩り”って最近話題になってんの、知ってる?」
健太「何だそれ、ニュースでやってたっけ?」
田中「ニュースでは、別の・・・なんだっけ、固っ苦しい名称だから、Twitterとかではこっちで呼んでんの。」
健太「その”言語狩り”って、つまり何?」
田中「初詣の日から、ある単語だけしゃべれなくなったんだよ。俺たち。」
健太「何だそれ?普通に会話できてんじゃん。」
田中「林は普段絶対に言わなそうな言葉、○○が言えない。あれ、面倒だな、例として話してもしゃべれないのか。」
健太「今なんて言ったんだ?てか、あの時の佐倉も同じ感じだった。なんか言ってんだけど、一部聞こえないの。」
健太の言葉を聞くと、イラっとした雰囲気で田中が言った。
田中「あああああああ!!!もうお前は、なんだよ!それ!普通、状況と前後の文脈で分かるじゃん!いくら聞こえなくても察せるじゃん!せっかく勇気を出して、伝えたのに伝わらないなんて……!!お前ほんと、恋愛偏差値低すぎだろ!」
健太「恋愛偏差値……?え、まさか、えっ?」
田中「はい、答え合わせ。林、佐倉さんが言おうとした言葉を言ってみよう!」
健太「何だよ、それ!なんの罰ゲームだよ。」
田中「正解したら、音には出ないから大丈夫。」
健太「そういう問題じゃねえ。なんで田中に言わなきゃいけないんだよ。」
田中「じゃあ、答え合わせせずに、佐倉さんのところ行ってくるか?」
健太「分かったよ……。XXだよ。?!!!!まじか、まじなのか?!」
健太その場で頭を抱え込む。
田中「はい、正解。じゃあ、次の問題です。」
健太「ちょっと待て、この次があるのか?というか田中、お前楽しんでんだろ!」
クラスメイトは二人を見て、あいつら何あんなに騒いでんだ?とみている。
クラスメイト1「あの二人何やってんだ?」
クラスメイト2「卒業まであと少しだから、馬鹿やってんだろ?」
× × ×
〇タピオカ店(美月side)
香奈「ふーん、なるほどね。そんなことあったんだ。でもさ、”言葉狩り”が起こったんだから、林君分かんなかったんじゃない?ほら、彼そこらへん鈍いし。」
美月「健太は確かにそういうとこあるけど、でも自分の言葉で言えなかったのが悔しくって、橘さんは自分の思いをちゃんと伝えたのに。」
香奈「いや、”言葉狩り”が起こるなんて、誰も想像してなかったでしょ?美月のせいじゃないじゃん。」
美月「今までいくらでも伝えられたんだよ。それに、私のこと妹みたいって言ってたし。ぜんぜん意識してもらってないんだよ。」
香奈、不満げにタピオカを飲みながら美月を見ている。
香奈「それで、髪切っちゃったの?頑張って伸ばしてたのに。」
美月「吹っ切るのにいいかなって、もともと健太が髪長いほうが似合ってるって言ってたから。」
香奈「何それ、どういうこと?それで付き合ってないって、こっわ!というかその話くわしく!」
美月「ええ?・・・昔ね、小学生の時に長い髪引っ張られて男子に虐められてたの。そしたら健太がそこに居合わせて、その子たちと喧嘩になっちゃって。あとで、全員先生にこってり怒られたんだけど。」
香奈が楽しそうに聞いている。
美月「帰り道、健太にありがとうって言ったときにね。私、髪切ろうかなって言ったの。大人しく見えちゃうから。そしたら」
美月は両手を頬にあてて言う。
美月「せっかくきれいな髪なんだから。勿体ないぞって。あいつらほっとけって」
香奈「きゃー!!なにその甘酸っぱい漫画みたいな話!もうなんでその話もっと前に聞かせてくれなかったの?!」
美月「だって、小学校の時の話だし、」
香奈「(美月の話を聞いていない・・・。)林君、小さい時まじ優しいじゃん。無自覚か、無自覚に女子を落としてんだな?」
美月「健太は昔から優しいよ……。」
香奈「はいはい、そうだね。なんでそんなイケメンが恋愛偏差値こんな低いんだろ?」
美月「中学に入ったとき、先輩と付き合ってたんだけど、ひどい別れ方しちゃったみたい。その時バスケも調子が悪くて、あの後からかな?バスケ一本で頑張るようになったの。」
香奈「ふーん、なるほどね。で、美月は告れなかったっと。」
美月「だって、高校でスタメン取れたの本当に嬉しそうだったし、頑張ってる健太の足引っ張りたくなくて。」
香奈「なるほどね。でも本当にいいの?○○なんでしょ。あ、これめんどいなあ。まあ、分かるよね。林君のこと○○なんだよね。」
美月「いうのが遅かったし、言葉にできなかった。これは、告白しないほうがいいって、神様が言ってるんだよ。」
香奈「占い信じる派なの?美月って」
美月「初詣の日、お参りで告白がうまくいかなくてもこの関係が続きますようにってお願いしたの。罰があったたのかも。都合よすぎるって。」
香奈「そっか、まあ美月がいいなら、いいや!とにかく今日はせっかくイメチェンしたんだし、写メ一杯撮ろ!」
美月「うん!ありがとう!」
× × ×
〇ゲームセンター(健太side)
健太「まじか、今まで気づかなかった…。」
田中「お前ら、なんで今までそれでくっつかなかったんだよ。傍からみたらバカップルなのに。」
健太「いや、俺バスケで全国目指したいって思ってたから、佐倉の気持ち気付かなかった。」
田中「理由になってないって。今まで当たり前のように幼馴染としていたからずっと続くと思ってたみたいだけど、人は変わるからな。いつまでもお前の後ろについてくる大人しい子じゃないんだからな。」
健太「お前のその恋愛観はどこで養ってきたんだ……。」
田中「てか、本当に最後のチャンスだったんじゃないの。普通、関西の大学行くか?まったく相手にされてないって思われたんじゃねえの。そのうえ、あんな分かりやすい状況でも気づかないとか。そりゃ失恋引きずりたくないでしょ佐倉さんも。」
健太「(田中の話を無言で聞いている……。)・・・・・・そっか。」
田中「てか、林はどうしたいんだよ。」
健太「俺は、佐倉とずっとこのままの関係でいたいかな。」
田中「ふーん、ずっと幼馴染ってことか。じゃあ、俺が佐倉さんに告っても文句はないな?」
健太「?!えっ?」
田中「だって、そうだろ。佐倉さんの気持ちを考えて見守ってきたけど、お前がそんなんだったら、遠慮する必要ないよな?」
健太「いや、ダメだって。」
田中「なんでダメなんだよ。付き合ってないしいいだろ?」
健太「(田中と佐倉が付き合う、田中はいいやつだし、佐倉のことも大事にするだろう。でもなんか嫌だなって思った。そっか、俺)・・・俺佐倉のこと好きだったのか。」
田中ため息をつく。
田中「やっと気づいたか。お前のその幼馴染フィルターめんどくさいなあ。なんで、両想いなのに付き合わないのか、不思議だったよ。」
健太「田中、お前……。佐倉の事」
田中「違うって、ちょっとカマかけただけだから。別に好きな人いるし。」
健太「よかった……。」
田中「何だよ、その反応。」
健太「田中と戦ったら、勝てる気がしない…。」
田中「皮肉かあ。お前けっこうモテてたんだぞ。モテない男子高生達にとって、めちゃくちゃ羨ましい状況だったのに。まったく利用しなくて。はあっ。まったく、佐倉さんも遠回りな感じだったけど、お前は輪にかけてめんどくさい恋愛してんな。」
健太「佐倉にどう伝えよう……。」
田中「自覚した瞬間、これか。まあ、”言葉狩り”が厄介だよな。お互い結構にぶ...…、不器用なとこあるから、ストレートに言わないと伝わんなそう。というか佐倉さんは失恋したって思ってるみたいだし。」
健太「鈍いって言おうとしただろ、はあっ、なんで”言葉狩り”なんて起きてんだよ!!」
田中「俺に言うなって、多分、この状況林だけじゃないから……。日本中の告白しようとしている人達、みんな思ってるよ。」
健太「田中。○○を伝えないで、思いを伝えるのってどんな方法があると思うか。」
田中「・・・・・・普段なら自分で考えろっていうけど、珍しい状況だから、一緒に考えてやるよ。餃子セットおごりで。」
健太「そこ、抜かりないな。まあお願いします。」
× × ×
(次こそは、完結させます。力尽きました。)
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