「NISA」とは何か?

 NISAは、個人の投資家に対する税制優遇制度のことです。制度が始まったのは比較的最近で、2014年からであります。イギリスで導入されているISAをモデルとしていることから、日本版ISA(Nippon Individual Savings Account)という名称がつけられました。
 なぜ、このような制度が始まったのでしょうか。経済成長が停滞している日本において、成長を促すためです。企業活動が活発化することで経済は成長します。その上で、個人の資産が預貯金に大きく偏っていてはいけません。株式に投資するなど、個人の資産が企業に供給されることが、企業の成長をサポートし、ひいては経済成長に繋がります。
 運用益の非課税によって、個人の投資ハードルが下がり、富裕層のみならず幅広い人たちに投資をしてもらえるようになりました。


【NISAのメリット】

 NISAのメリットは何と言っても、投資した商品の売却益や分配金、配当金(※1)が非課税になることです。最長5年間(※2)、非課税となります。通常、購入した株式・投資信託などで利益が出た場合、利益に約20%課税されます。NISAは、利益を出せば出すほど、非課税の恩恵にあずかれます。

※1 分配金と配当金は、支払いをする主体が異なります。分配金は「投資信託の運用会社」によって支払われ、配当金は「株式を発行した企業」により支払われます。
※2 非課税期間5年間とは…投資した年から数えて5年目の年末までとなります。投資した日から5年間ではありませんので、注意が必要です。例えば、2020年に投資した場合、1月に投資しても、12月に投資しても、同じ2020年に投資したことになってしまいます。よって、非課税期間の終了時期は、1月でも12月でも、2024年の年末までとなります。5年間丸々使用したい場合は、1月に投資を開始しましょう。

【NISAの制度はいつまで?】

 現在のNISAは2023年までの制度です。例えば、2022年に投資をした場合、2026年まで非課税で保有することができます。
2020年に新NISAが発表されました。2024年から新NISAが始まり、期間が2028年まで延長されます。期間の最終年である2028年に投資した場合、2032年末まで非課税で保有することが可能です。
 2024年以降に初めてNISAを利用する場合、新しいNISA制度を利用することになります。すでにNISAを利用している方については、新制度に切り替える必要はなく、非課税期間終了時にロールオーバー(※3)をおこなうことができます。

※3 ロールオーバー…5年間の非課税期間が終了したあとにおいても、非課税枠で保有している金融商品を、次の年のNISA非課税枠へ移すことができます。再度5年間非課税で運用することが出来るので、最大10年間非課税で運用可能です。このような、翌年のNISA非課税枠へ移す手続きを「ロールオーバー」と呼びます。

【NISAの利用に関して】

 購入方法は、一括投資または積立投資で行います。日本に居住している20歳以上の方であれば、証券会社などで口座を開設できます(外国籍の方も、条件をクリアできればNISAを利用することができます)。
 NISA口座とつみたてNISA口座をどちらも持つことは出来ません。NISA口座もしくはつみたてNISA口座のどちらかを、1つの証券会社で1口座だけ作れます。
 NISAはつみたてNISAと比べ、投資商品が豊富なため、きめ細やかな投資をすることができます。
-----------------------------------------------------------------------------●「NISAで買える金融商品」
国内株式(現物取引※4)、投資信託、外国株式、海外ETF
●「つみたてNISAで買える金融商品」
金融庁が定めた公募株式投資信託・ETF(上場投資信託)

※4 現物取引…取引所に上場している株式を証券会社などに預けている資金の範囲内で売買する取引のことです。
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 毎年120万円が投資金額の上限です。未使用分があっても、翌年以降へ繰り越すことは認められていません。120万円までであれば、株と投資信託をそれぞれ買うなど、異なる種類の金融商品を買うことも出来ます。

【いつ売るのか?】

 NISAは、iDeCoと違い、いつでも売却することができます。
 利益が出ている場合、非課税期間が終わる前に売却するのも有りです。とくに、非課税期間の終了が近い場合、いつ株価などが大きく下がるか分からないため、終了前に売却して利益を確保するという判断も必要になってきます。
 ロールオーバーして、非課税期間を延長することも選択肢の一つとなります。最大10年非課税に出来るため、メリットを最大限利用してもいいと思います。
 または、課税口座に移して、新たな商品をNISAの非課税枠で購入することを検討してもいいでしょう。「この商品にも投資をしたい!」という考えがあれば、その選択も良いでしょう。

【デメリット】

デメリットもいくつかあります。

・1人1口座しか開設できない。
証券会社の一般口座は複数持つことができますが、NISA口座は1人1口座だけです。口座を開設する金融機関は1年単位で変更可能ですが、投資をした場合、120万円の投資枠を使い切っていなくても、金融機関の変更は不可で、翌年になるまで待たなくてはいけません。

・新たな投資しかNISA口座を開設できない。
すでに証券口座で株式や投資信託を持っている場合、その口座をNISA口座に移すことはできません。

・他口座と損益通算ができない。
NISA口座で損失を出していて、他の口座で利益が出ていても損益通算ができず、課税対象となります。また、損失の翌年以降への繰り越しもできません。分かりづらいため例を示します。
 例えば、課税口座を2つ開設していて、①は150万円の利益、②では150万円の損失が出たとします。損益通算ができる場合、利益と損失を合わせると利益はゼロのため、利益が出た①の口座に課税されることはありません。
しかし、損失が出た②の口座がNISA口座の場合、損益通算は不可のため、①の150万円分の利益に対して税金が課されます。このように、NISAを使うことで、損するケースもあります。加えて、損失を翌年以降に繰り越して翌年以降の利益から控除する、「損失の繰越控除」も利用することができません。

・1年の非課税投資額120万円は、売却しても元には戻らない。
例えば、120万円の投資をして、1カ月後に全て売却したとします。「全て売却したから、また120万円分買おうか」と思っても、それは出来ません。次の年になるまで、非課税枠はゼロです。非課税枠が120万円のため、短い期間で売買を繰り返す「短期投資」には向きません。長期間保有して資産を増やすことを、目的として利用するのが良いです。


【まとめ】

以上、「NISA」について、利用方法やメリット、デメリットを説明しました。間違いなどございましたら、ご指摘頂けると助かります。

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