世界の夜明けを待つ男
私は世界の夜明けを待っていた。病まない雨はない。出口のないトンネルなど存在しない。そんな言葉を信じて、私の中で時間が過ぎるのを待っていた。
夜明け前は何もかもが暗い。そしてズシリと重いものが常にのしかかる。動こうにもいつも以上にエネルギーを使うので、できることなら動きたくない。
ただ、せっかく自由の身になったのに、何もしないのも勿体無い気持ちになる。だから私は腰をあげた。
夜明け後は世界が違って見える。先ほどまで暗く重くのしかかっていたものが、明るく軽く、透明感のある景色に変わる。そんな夜明けを私はずっと待っていた。
そう、二日酔いから明けた世界を、心から待ち望んでいた。
なぜ人は二日酔いになるまで飲むのか。同じ過ちを犯すのか。そんなことを自分に問いかけながら、二日酔いの暗い世界を過ごしていた。
もうあんな暗い世界はごめんだ。2度と飲みすぎないようにしよう。そんなことを毎回思っている。
今、私は夜明け後の世界でこの文を書いている。やはり止まない雨はなかった。二日酔いは明けた。怖いものはない。
さあ、今日もこの明るい世界でどんな楽しいことをしようか。そんなことを考えながら、日常を噛み締めるのである。
結論、二日酔いはしんどい。
おぎそ
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