今、住んでいる街を愛すること。
初めての一人暮らしから4年が経った。いざ振り返ると4年前も今と変わらず仕事人間だったが、マネジメントも役職も経験したことがなく、平社員として目の前のことに打ち込んでいた。
一人暮らしを始めたのは完全に勢いだが、具体的なことは何も覚えていない。25歳にもなって一人暮らしの経験がないことに対して若干の恥ずかしさがあったし、通勤時間も無駄に感じていたが、決定的な出来事はもう忘れてしまった。
いずれにせよ、何から何までわからないまま、とにもかくにも不動産屋に予約を入れて物件を探した。条件は2つ、会社から徒歩15分以内の物件で6万円代。それだけだった。
初台に住み始めた理由
徒歩圏内にした理由は、そもそも実家からでも通える距離に住んでいたのでせっかくならば出来るだけ近くに住もうと思った。「新宿まで徒歩通勤なんてかっこいいじゃないか」と思い、初台周辺で探すことにした。
条件が6万円代と厳しかったので、物件の選択肢も3つ程度しかなく、あっという間に物件は決まった。こうして私はあっけなく人生初の我が城を手に入れた。
そもそも当時は仕事一本で生きていたので、基本家には寝に帰る生活だった。ただ睡眠時間が最上欲求の私からしたら、睡眠時間の確保は最高のライフハックなのである。
一人暮らしを始めたから、というわけではないが、次の期から昇進しマネジメント職になった。でも初めてのマネジメント職で、大変なことや悔しいことがたくさんあった。
家に帰っても休みの日も、部屋に帰って仕事のことを考えた。男泣きしそうになりながら会社のことを考えて、仕事のことを考えて、どうしたらみんなが幸せになるかを考えていた。懐かしいな。
毎日毎日仕事のことばかり考えた。頑張れど頑張れど、一向に改善されない。
こんなにフル工数使ってるのにどうしようもない、うまくいかないことは5回や10回じゃなかった。
初めてマネジメント職についた人は必ず経験するのかもしれないけど、何もかもがうまくいかない。実力不足、マネジメント力不足、、悩んでばかりの日々だったけど、帰る家はいつも初台だった。
そして、それでもやっぱり仕事は楽しかったなと。心から思う。
居心地のよかった初台の街
そんな仕事ばかりの毎日であったが、休日は息抜きもしていた。特に家の前の商店街を歩くのは好きだった。
季節ごとの音楽がどこからか聞こえてきて、お惣菜を買う。新宿がすぐそばにあるとは思えない静かな街で、下町情緒が溢れる街。それが初台だった。
昔から下町に住むことは憧れていたが、初台を選んだのはたまたまだったので、想定外に満足度は高かった。4年間も住み続けたのは、初台の趣深い雰囲気が好きだったからだ。仕事漬けの毎日だったが、初台という街が心を癒すてくれた。
夏は夜に近所を散歩するのも好きだった。夜風に吹かれながら、コンビニで缶ビールを買って一人で乾杯する。「プシュッ」という開封音が私にとっては「お疲れ!」と同音に聞こえた。
初台にはよく行った寿司カフェ屋さんがあった。海鮮丼とコーヒーセットで1000円弱。しかもコーヒーは飲み放題というコストパフォーマンス。最高のお店だと思う。もう何十回通ったかもわからないが、思い出の場所の1つである。
新宿の駅前ではバンドマンが路上ライブをしているが、初台の駅前ではオカリナやジャズの演奏が開催されている。そういった上品さもよかった。クリスマスは大きなツリーが現れたりもする。
そうそう、時々は家の引っ越し?取り壊し?か何かで無料で食器や家具を配っていることがあった。私は小さな車の置物をもらったことがある。とても人情味のある街でもあった。
言い出したらキリがないが、初台は本当に私に合った街だった。
そんな初台を11月に引っ越して、現在は蔵前に住んでいる。蔵前は初台以上に下町情緒が溢れる、雰囲気のいい街だ。引っ越したきっかけはまた別の機会に書くとするが、とても満足している。
ただ、やっぱり初台は特別な街だから、またいつか遊びにいきたい。夜風に吹かれながらを散歩して、缶ビールを飲みながら、商店街で流れる音楽に浸りたい。いつの日か。
今、住んでいる街を好きでありたい
多くの人にとって、初めて住む部屋は特別だと思う。私にとってもそうだ。そして部屋に限らず、街全体が特別な存在になる。特に社会人3年目という仕事もプライベートも悩みが絶えない時期を過ごした我が家は一生忘れない。
誰しも初めての一人暮らしは緊張すると思うし、大抵は若い頃なので生活も安定はしない。そんな中でも、毎日を楽しく過ごした街のことは忘れるわけがない。一緒に過ごして、一緒に変わっていった。いい街だった。
初台を離れたことは2019年の中でもかなり大きな出来事である。年の瀬だからか色々な感情が溢れてくる。これから蔵前で新しい生活を送るけど、この街も同じくらい最高だったと言えるように、満喫していきたいと思う。
皆さんもぜひ、初めての一人暮らしでなくても、今いる街での毎日を愛していただきたい。大きなお世話かもしれないが、せっかくなのに伝えたかった。
ということで、もう年も越してしまうので今日はこの辺にする。2020年が皆さんにとって良い年になりますように。来年もあなたの街で、素敵な出会いや生活が待っていることを心から願っている。
良いお年を。
おぎそ
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