はじめに 相棒のご紹介
こちらが群馬のレザー作家さんに作っていただいた私のシステム手帳です。
サイズはA5。デザイン、色(革)の組み合わせ、ステッチの糸の色を選ばせていただきました。ツートンの外皮は鹿です。
手帳が欲しい『私』
元から文房具が好きで特に書くことに関わる筆記用具やノートにはアンテナが高かった私。ライターとして活動をさせていただけることになり、就業時にはフタをしていた書くという感覚がダイレクトに刺激されると、むくむくと何かを記すことに対する欲が頭をもたげてきました。
講義や研修の記録をとるのにB5の大学ノートをびっしり埋めるのが大好きでしたが、ふと、仕事でご一緒した方が抱えていたA5のシステム手帳がひどく鮮明に思い出されました。「ああ、仕事ができる人なんだな」とシンプルな印象で。どんな資格をもっていても自己肯定感に繋がらない自分にとって、そういったツールはなんだかお守りのように思えました。
さて、そんな風に形から入るタイプの私がシステム手帳が欲しい! と猛烈に思い立ったとき、私は子育て中で定期的な収入はなく、人さまをマネてポイントを貯めてみたりたまに頼まれる単発の仕事をしたりしているというお財布事情。とはいえ独身時代の蓄えもあるし家族に言えば買ってもらえるという環境。
まずここで私の第一のこだわりが発動するのですが、「今の自分が捻出した費用で購入をしたい」と強く思いました。
働くことがアイデンティティだった独身時代から一転、収入を得ずとも生活が成り立つ、という感覚が子ども時代ぶりだった私にとって、自分の『好き』という感覚で衣食住に関わらない大きな買い物をすることに謎の抵抗があったのです。
また、社会を根拠に生きてきた自分が個人に戻って肩書も所属もなく何を生み出せるのか? という自分への問いもありました。
ーーーと、大風呂敷を広げたものの、乳飲み子を抱えてできることは少なく、最終的にアンケート方式のポイ活で交換可能となった一万ポイントが元手となりました。ちゃんちゃん。
ジビエレザーをチョイス
手帳探しはまずAmazonや楽天を巡回、そのうちにASHFORD、Bindex(日本能率協会)、Brelio、Davinci、などなどメーカーのものに惹かれるようになりました。
値段もカッコいいなぁ…と思っているうち、お財布など革ものの訳あり品を見かけ、B級品の謂われが「トラ」や「イナズマ」であることを知りましたが、私にはそれが命の証に見えました。
それからジビエレザーを思い出し、地元で手に入らないか探し、難しいとなると広大なネットの海に飛びこみ、一番にヒットした今回の作家さんにお願いしたのは、作品の素晴らしさのほかに写真の色味のやわらかさとお品物を紹介する手袋のお手元が優しく見えたからでした。
この直感がのちのちバッチリはまってくれます。
いざオーダー!
ご連絡を差し上げてからやり取りはどんどんと進みました。
どんなものをご所望ですか? といった流れから僭越ながらこういったイメージが……とイラストを送らせていただき、どのパーツを何色にするか、糸はどれにするか、など革や糸の見本を見せてくださったり実際に組み合わせて見せてくださったり。
とてもありがたかったのは、「じっくり考えて本当に納得のするものを」というスタンスで気長に連絡を取り合ってくださったことです。私は悩みやすく、そのせいで人に迷惑をかけていないか心配になるので、そういった言葉をかけていただいた安心感で大切に考えることができました。工期を待ってわが家に届いたその子は、手触りはなめらかでふっくらとしていて包容力があり、作家さんのお人柄を感じられるようでした。
この段落の内容がやや薄いのは本当に楽しくスムーズすぎてあっという間に感じたからだと思います。
作家さんが私からの「なるべくジビエ感が強いものを」というお願いを力強くキャッチし私以上に膨らませてくださいました。これは私の第二のこだわりです。
仕上がった存在感の頼もしさには、尊いものをいただいた、と心から感謝の念がわきました。
さいごに
人生で二度とない時間のなか、いろいろな想いをこめて迎えたこの子には、来年度から家族の司令塔としての役割を託します。
わが家にとって怒涛の一年になるであろう不安を前に、まずリフィルから整備。
さっそく2月の予定を書きました。
これから〆切や提出物の厳重な管理を頑張れる気がしています。
たかが手帳、されど手帳。頭の中を整理して俯瞰して計画を立てる、そういった意味で、手帳を開くことは思考の扉を開くことと同じことのように思います。A5サイズの秘密基地でこれから何ができるでしょうか。
長々とお読みくださりありがとうございました!
対手帳というより対自分といった語りが長くなってしまい、手帳好きの皆さまの趣旨とズレていたら申し訳ありません。
時節柄ご自愛くださいませ。