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桜の味 なぎコミュ企画第一段!テーマ『春の息吹』

桜の味がするあのドリンク。
いつもこの時期になると、葵と二人で帰り道に飲むのが楽しみだ。

「本当期間限定なの泣けるー。年中無休にしてくれよー」

毎年葵は決まって同じ台詞を吐いている。
そして、この呟きに対して私も「いつでも飲めたらありがたみないじゃん!」と話すのがお決まりだ。

美味しくて幸せになる味。同時に、これが出るとわくわくした気持ちになる。

「ねえ、担任誰になると思う?」
「えー、やっぱあの爽やかなー、私だけの先生がー」
「はいはい」

桜を舌で感じながら、私たちはいつも決まってこんな馬鹿なことを話している。

そういえば、去年ゴリラ先生が顔に似合わず「いつまでも今が続くと思うなよ!馬鹿なことできるのだってありがたく思う日がくるんだぞ」と言っていたのを思い出した。

あの時はセリフと顔があっていなくて、誰一人真面目に話を聞いていなかった。私も葵と何日もネタにしていたのを覚えている。

だけど、今ならわかる。

「ねえ、今年も毎日飲むの禁止?金曜日限定?」

桜の味はこの時期にしか味わえないから、葵は毎年「毎日飲みたいー!」って騒いでいたのだ。

「こんなの毎日飲んだら、今でも手遅れなのにぶーになるぞー」

とお決まりのツッコミを私が入れるから、週末のご褒美にしようと二人で決めていたのだ。

だけど今年は...。

「ぶーになりたいなら、毎日飲んでもいいんじゃない?その代わり、葵の夢遠ざかるけどな」

「まじかー。でもさ、金曜日だけだと片手で収まる数しか飲めないじゃん。その後いくらでも努力するからさ」

桜を舌で感じながら、今年は葵と本物の桜を眺められないのを実感した。

「今年は特別か。一足早くお花見ってことにするか」

「賛成ー」

「葵は都合のいい時だけ賛成するんだからー」

葵とは毎日馬鹿やって、好きなものを共有して、どんな時もどんなことをする時も、一緒だった。そんな葵と一緒にいられるのは後何日だろうか。

旅立ちの日が近づいている。
葵が泣きそうな顔で私に打ち明けてくれた時、私はただただ笑顔で「全力で応援する!」と言ったのだ。

だから私は、葵を見送るその日も、いつものように桜を舌で転がしながら、二人で春を感じながら、また明日があるように見送ると決めている。

「葵が夢叶えたらさ、通学路通りながらさ。ノスタルジーとかいいながら、また飲もうよ」

「その頃まであるかな?」

「あるよ、きっと。だって私たちが毎日飲みたいほど美味しいんだもん」


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3月からなぎコミュでは、小説企画としてメンバーが同じテーマで小説を書く!という企画を始めました。

メンバーで読み合い、直接感想をもらえる喜び✨
いろんな角度からテーマを見る面白さ
メンバーの色が出て、学びにもなる!そんな企画

私も小説書こうと思いながら、自発的に書けなかったのでこの機会に書いてみました✨

これからメンバーの小説をどんどん載せていくのでお楽しみに♪

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