『笑顔でさようなら』参加者作品!小説オンラインイベント
4月29日に開催した小説オンラインイベント!同じテーマで30分間即興小説を書く企画
この時の参加者の作品をご紹介します!
「みなさん、こんにちは。これからは草取りを始めます」
会社の外、閣谷(かくたに)GMの声が響き渡る。仕事をしてないからか知らないが、元気だ。
「私はですね、普段仕事をしてないようにも見えますが、トラックの手配をしているのが私です。よろしくお願いします」
GMは自分の業務の説明をするがもう聞き飽きた。早く草取りの説明をしてくれ。
「その前に社長の話があります。石宮(いしのみや)社長、お願い致します」
社長がズンと前に出た。
「皆さん、こんにちは。今日もお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は六時までここの草取りをしてもらいます」
ここは会社の向かいにある空き地だ。会社の用地のようだが何に使うのだろうか? もう大分前に買った用地らしいが。
「さあ、今日も笑顔で頑張りましょう!」
社長はこう言うが現在午後五時過ぎである。業務後なので顔が引き攣っていると思うが。
ちなみに今日は会社の土地のオーナーの方も来られている。
「紘山くん、ごくろうさま。今日はどうだった」
「今日もまあまあでした」
俺の今の仕事は防御服を作る業務だ。防御服と言うのは刀と言う、短い剣で刺された時に体を守るための防具だ。刀は現代では物を切る道具として使われていたが、最近は護身や攻撃用などに持つ人も増え、また危険な道具として知られるようになってきた。作った防御服は軍事メーカーへと送られる。
「なかなかあの板を切るのも大変でしょう?」
「そうですよ。もっといいナイフがあるんじゃないですか?」
あの透明な板をナイフで切るのはなかなか大変だ。今はそれを切る道具もあるが。
「それじゃあ、がんばって」
「はい」
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草取りが終わった。もう空は夕焼けを通り越して黒くなり始めている。
「紘山くん、ごくろうさまでした」
「おつかれさまでした」
僕はオーナーの方に笑顔でさようならをした。仕事で疲れた後なので、これをするのはちょっと難しいのだが。