きまぐれオレンジ☆ロード

「きまぐれオレンジ☆ロード」は、現代の少年マンガにおける青春ラブコメというジャンルの確立に大きく影響を与えた作品である。
ロマンスというほど熱烈なものでもなく、コミカルではあるがギャグマンガではない、そしてちょっぴりお色気要素も添えてある……というあの絶妙なバランスは、この作品が源流にあると思う。

少年マンガにおけるラブコメはやはり高橋留美子先生の「うる星やつら」が原点にあるが、「きまぐれオレンジ☆ロード」は「らんま1/2」とほぼ同時期の作品。
「らんま1/2」がドタバタと少年マンガらしさの強いコメディー寄りの路線に対して、こちらはファンタジー要素こそ持ってはいるものの、もっと親近感のあるラブコメをしていて、少年マンガや少女マンガよりも女性向けロマンスに近いと感じた。
しかし、二人の間に揺れる少年心や、マセてはいるがオトナになりきれない少女、といった繊細な描写がとても甘酸っぱい。
が、レモンというほどの酸味ではないのがタイトルにピッタリ合っているのだ。

しかし、その恋愛模様というか、特に女性の思考や立ち回りがとても時代を感じてしまい、僕らの世代にとっては急にフィクションに見えることがある。
だから、決して「色褪せない名作」とは言えないのだが、ノスタルジックな作品が好きな(今の時代では)ニッチな層にしか刺さらないやもしれない。

少しファンタジー要素があるという話をしたが、主人公の家系はテレポートやテレパシーといったエスパー的な能力がある。
作品の根幹には一切関わらず、それどころかマトモに解説されないのが結構ニクくて、青現実的な世界観とストーリーの中で、ラブコメするための装置としてだけ働いている。
こういうご都合主義なら大歓迎だと僕は思っているし、物語に結末が描かれない形で最終回を迎えるから、その先の恭介が、まどかさんとひかるちゃんがどうなっていくのか、想像も横に膨らませられて楽しい。

これはラブコメあるあるというか、僕の嫉妬()なのかもしれないが、主人公・恭介のどっちつかずの態度に見ていてイライラすることはある。
僕がラブコメを読むに向いていないだけという話ではあるのだが。

久し振りに推しトークも入れましょう。
僕は断然ひかるちゃん派です。
でも、それは今だからひかるちゃん派なだけであって、同じ位の年頃だったならばちょっとオトナなまどかさんに魅了されていたと思う。
実際、好きになる人の傾向がそうだった。

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