魔法少女プリティ☆ベル

僕は昔からクラスの陽にも陰にも馴染むタイプで(黒歴史時代までは)、陰キャグループの中でも孤立しがちだった友人が読んでいたのをキッカケに、借りて読み始めて、後ほど自前で揃えた。
「魔法少女プリティ☆ベル」(以下「プリベル」)というタイトルながら、かの有名なSTG「超兄貴」の兄弟みたいなビジュアルをした、男の中の漢・高田厚志が主人公である。
友人から借りた当時は「魔法少女俺」がアニメ化かなんかが決まった頃だったと記憶していて、秋葉原にデカデカと広告を見た気がする。
筋肉モリモリマッチョメンの変態が魔法少女系作品のブームなのかと思った。

作画はクセが強く、セクシャルな表現も多いので、読む層は選ぶと思う。
元のデッサン力がというよりも商業エロにありがちなスピードだったり描き込みの抜き差しだったりの崩れ方な感じがするので、多分KAKERU先生の作家としての生い立ち由来なのではないかと思う。
物語も魔法少女を謳いながらもガッツリ国取りの政治モノであるし、作者の思考の色が濃い台詞をキャラクターが言い放つので、そういう意味でも人は選ぶと思う。
万人受けこそしないものの、ファンタジー的な異種族に置き換えた政治ゲームはよくできていて、主義の違いや民族性、そして個で見たときは必ずしもそうではないという部分も描かれている。
政治思想についてはしておき、そういった仕組みをざっくりと掴めて、マンガというプラットフォームでエンタメとして読めるのはとても良い。
ガチ過ぎずザル過ぎず、マンガとして面白い。

ただし、胸糞展開が多いのもまぁ事実で、マスケレイタを筆頭に「そんなサラッとブチ込むなよ」というエピソードもあるし、ファンタジーとはいえ突拍子もない残虐な展開や表現もあるので、やっぱり人を選ぶと思う。
もっと読まれて欲しいと思いつつも、刺さる人に刺して行こうぜという感じもあるので(劇中もそんな感じで刺されてるわ)、これを俺に勧めたあの友人が孤立しがちだったのもちょっと分かるなと思いました。

僕が二十歳の誕生日の時に自分で主催した誕生日パーティーにその友人を呼んだら、150kmは離れていたのに会いに来てくれた。
その時も3年ぶりぐらいで懐かし話に花が咲いたものだが、それ以来は連絡も取っていない。
当時は僕がまだスマホを持ってなかったのもあって、電話とメルアドしか知らず、そしていつの間にかアドレスは通じなくなっていた。
僕も早くも30歳になろうというのだから、また電話でもかけて飲みに誘ってみようか。

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