金色のガッシュ!!

小学生の頃の僕たちクソガキッズは、工作が大好きだ。
センスの無い僕はセロハンテープでベタベタのゴミになってしまうが、なんかイイ感じの厚紙とか缶とか輪ゴムとか針金とか、そういうのを見つけるととりあえず集めてくっつけて何かを作る。
クリエイター魂のようなものは、あの頃の少年たちは誰でも持っているものだ。
そして同じくらいの時代に人気だった、「金色のガッシュ!!」(以下「ガッシュ」)に登場するバルカンという工作物に触発され、みんながみんなオリジナルのバルカンを作っては粗雑で横暴な人形遊びをした。
あの頃は楽しかった。

そんな思い出に浸るのも良いが、「ガッシュ」は最近続編が出たこともあって、新しい世代にもどう響くかに注目している。
当時のバトル系少年マンガにおいて、文字通りでもある王道を往く作品でありながら、僕にも刺さった数少ない作品だった。
厳密には違うものの、実質的なトーナメント方式で勝ち抜きを目指すという少年マンガの王道展開を更にピックアップしたようなストーリーだ。
しかし、敗北=消滅(正確ではない表現だが)というのが一つ一つのバトルに緊張感があって良かった。
キャラクターも敵味方問わず個性的で、敵ながらカッコイイ奴や面白い奴が多いのも良かった。

この作品の一番恐ろしいのはギャグパートだと思っていて、破天荒な暴走ギャグといえば「ボボボーボ・ボーボボ」や「ギャグマンガ日和」といった競合が多い少年マンガだが、それらの影に隠れている影の猛者である。
強敵の名前に「ウンコティンティン」という小学生の下ネタレベルの名前をつけてきたり(マジです)、その名を女の子に叫ばせる等の令和でやったら一発アウトなワードセンス、同じ類で何故か脳裏にこびりつく「チチをもげ!」も冷静に考えるとどういう思考回路をしていれば思いつくのか分からない歌である。
主人公・清麿の意識下の妄想でも脈絡の理解が追いつかないギャグのラッシュに、モブにも奇行が目立つ。
努力・友情・勝利の三原則に沿った展開、「優しい王様」という胸が熱くなるストーリー、大迫力のバトルシーンや呪文というロマン、それらの少年マンガとしての要素が高次元に盛り込まれているからこそ今の立ち位置にあるが、少しでも欠けていたら間違いなくイロモノ枠に片足突っ込んだギャグマンガに違いない。

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