エルフェンリート
最近はあまり見かけなくなったが、原作が連載中にアニメ化すると結末まで描けず、アニメはオリジナル展開ということがある。
それは大抵の場合はファンにとって不満の多いものになるのだが、「エルフェンリート」は原作からファンの僕が見てもアニメの展開は綺麗かつ原作の意趣があると感じる。
原作は全12巻で、大きく2篇に分けて読める。
その前半部分がアニメ化されているような感じだ。
前半部分は主人公コウタとユカ・ルーシーの3人にスポットを当てたロマンスやヒューマンドラマが中心になっている。
過去の出来事と再会、そして記憶を取り戻していく。
記憶喪失同士での再会という趣旨は多くは無いと思うし、三角関係の中に記憶喪失が持ち込まれる例もあまりなく、そこに人外(ここでは便宜上そう表現する)という要素も持つのだから、他の何にも代え難い面白さがある。
日常と非日常がシームレスに交じり合っているのが気持ち良く、実際の鎌倉がモデルということもあり、「ひょっとしたらこんなことが世界の何処かであるかもしれない」というリアル寄りフィクションでふと妄想してしまう厨二的なアレがとてもよく起こる。
それもまたこの作品の魅力で、僕が唯一オタクの聖地巡礼をした所以である。
原作では後編にて種の存続や敵の派閥争いと物語が広くなっていくのだが、アニメ版ではそれら一切が排除されたことで、陰鬱ながら美しいドラマとして完成している。
その後の原作は敵・味方共にキャラクターも増え、戦闘規模も大きなものになっていく。
最終的な主人公一行の流れは大きく相違なく、ある視点から見ればバッドエンド、また別の視点で考えればハッピーエンドなのだが、アニメ版の切ない結末とは異なり、大円団の色が強い。
劇中でもキーワードとなる「約束」もアニメ版では果たされたのか否かを想像に任せる一方で、原作ではしっかりとその答えが示される。
どちらも甲乙付け難く、無駄のない話数・巻数でどちらから入っても良いのが人にも勧めやすい。
エログロの類というハードルはあるが。
原作には岡本先生の読切も収録されており、こちらもまたどれも素敵な物語となっている。
勿論「エルフェンリート」本編にも読切タイトルにも現実的に言えばツッコミドコロはあるものの、それを指定するのは野暮であるくらい流れはとてもスマートだから、単純にマンガとして上手いと思う。
逆に岡本先生の作品は新作が出る度に先生の趣味が先行するように感じて、代わりに絵が上手くなっていくな……と、個人的なマンガの好みから外れてしまった。
「エルフェンリート」を語る上で外せないのはやはりアニメ版OP曲であり劇中でもモチーフが多様される「Lilium」だろう。
カール=グスタフのオマージュを含んだ美術的なビジュアルと賛美歌風の透き通った歌は、アニメ版の「エルフェンリート」にカッチリとハマっている。
物悲しい短調から吹き抜けるように長調へ流れていくメロディーラインは、いつ聴いても清らかな気持ちになる。
今も海外で実際の賛美歌として教会で歌われているらしいのだが、誰がどう聴いてもアニソンだけに留めておくには惜しく、そして生命と愛を謳うこの作品の美しさは教会で歌われる価値があると思っている。
さて、まだ「エルフェンリート」を履修してないソコのアナタ!
ネコミミ美少女が織りなす愛と感動とちょっぴりえっちなハートフル☆ドタバタラブコメディーの金字塔「エルフェンリート」を早く履修しよう!
そしてナナの可愛さを僕と語ろう!
あの有名なAAはナナが元ネタなんだぜ!
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