笑ゥせぇるすまん

「笑ゥせぇるすまん」を最初に知ったのは、このマガジンで度々登場している、幼少期に通っていたピアノ教室の待合室のマンガ本棚。
全体数でいえば千円カット理容室とかガソリンスタンドとか携帯ショップとかの待ちスペースよりちょっと多いかぐらいなのだが、コロコロコミックのような子供向けの月刊誌から大人の女性向けエッセイ単行本まで広く置いていて、偏りなく履修できた。
ただし、巻が歯抜けになっていたり途中までしかないものも多くて、「笑ゥせぇるすまん」はコンビニ本みたいなのが2〜3冊置いてあるだけだった。

しかし、子供心には十分に強烈な作品であった。
絵柄は藤子プロであるから、子供向けギャグだろうという思い込みで読み始めた。
主人公が悪役らしい悪役ではないのも相まって、怖いというより気味が悪いというのが第一印象だった。
サブタイトルこそ忘れてしまってものの、特に覚えているのは弱気な理容師見習いが顔剃りをする回・会社のゴルフ大会に出る回・運転がスーパードヘタな冴えない男の回・キャバクラ(?)の昼と夜で様相が変わる回・男が偽の家族と二役を演じる回だ。
むむ、初めて読んだ巻のほとんどではないか……つまりはそれくらい衝撃的だったのだ。

特にトラウマになっているのは前2つで、未だに理容室で顔剃りをして貰う時に、冴えない雰囲気の男性だと緊張するようになった。
美容室では冴えない雰囲気の男性は見たことがないので安心するのだが、千円カットに行くことも結構あるので、忘れることは無い。
というと職業偏見のように思えるが、サービスの料金と質による違いだと思うし、美容師の場合は自身のビジュアルがそのままブランドや広告に直結するので単に事実を述べた迄とさせて欲しい。
よくいく千円カットのおじさんは実家の元お隣さんで僕がオギャアの頃からお世話になっているし、よく話しかけてくれるおばさんも良い人です、お世話になっています。
話を戻すが、もう一つのゴルフの方は単純にラストのあの血塗れの顔が脳裏にこびりついていて、今でもたまに夢に出てくる。
当然ながらマンガの魅せ方が上手いので、そもそもコマが印象的になる部分にあの顔がある。
電子配信のような単ページ表示やWebtoonで読んでいたら、ここまで強く印象には残らなかっただろう。

一度アニメ化されていたらしいが、2017年に再度アニメ化しており、そちらは履修している。
見たくないのに見てしまう、あの感覚で。
初っ端から前述のキャバクラ回だったと思ったが、小綺麗すぎて逆に何も感じなかった。
この作品の黒さは、やはり書籍だからこそだと思う。


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