仮面ライダークウガ

平成仮面ライダーシリーズの記念すべき第一作「仮面ライダークウガ」(以下「クウガ」)をリアルタイムで視聴していたチビの頃の僕は、当時5歳。
初めて見た特撮作品であると共に、特撮の沼への入口でもあった。
「クウガ」に感化された僕は親に頼んで昭和ライダーを片っ端からレンタルビデオで見まくり、ゼクロスとか真みたいなものまで見た。
それに飽き足らずスーパー戦隊シリーズも少し見始めたが、地元の影響もあってかウルトラマンやゴジラの方へとシフトしていったのでそちらには明るくない。

「クウガ」は平成という新しい時代に合わせて「仮面ライダー」をリメイクというよりはリブートさせるようなコンセプトだったと思う。
平成では先に似たようなコンセプトで太陽の子がいた気がするのだが、彼は彼で優遇されているので良しとする(笑)
それまでの仮面ライダーシリーズと異なり、特撮というよりは一般の実写ドラマ作品のようなテイストで物語は進んでおり、「その時、不思議な事が起こった!」のようなナレーションもない。
仮面ライダーさえも未確認生物と呼ばれ、作品の全体的に警察が活躍しているのも斬新で、時代こそ異なれど「シン・ゴジラ」と同じ出発点で作られている。
そのドラマパートに負けず劣らず戦闘シーンも他のシリーズにはない独特の緊迫感があり、時には「これ、地上波で流せるんだ……?」という残虐な暴力シーンもある(しかも正義の味方であるクウガがボコる側)。
バイクアクションは後にも先にもないチカラの入れようで、一部シーンを除いてCGは使われておらず、ワンカットなのだから凄すぎる。
かといって生半可なアクションではないし、ゴ・バダー・バのように敵の怪人までスタントするのだ。
「仮面ライダー」で育った世代とその子供の世代が一緒に楽しめる作品、と言うにはオトナ向けで、「ニャンダーかめん」から始まる日曜の朝は寒暖差が激しい。
この頃はスーパー戦隊シリーズの後に仮面ライダーシリーズが放送されていたので、このあとの「おジャ魔女どれみ」との温度差もビックリするほどナイアガラだ。

しかし、令和の仮面ライダーを見てみると「平成に生まれて良かったな……」なんてオッサンな感想を漏らしてしまうほどガッカリするのである。
自己犠牲に投じながら、独り苦悩を抱えながら、血を浴び血を流しながら、それでも誰かの笑顔を想って戦う戦士の姿を「カッコいい」とチビの頃の僕は思ったのだ。
奇声を発する変身アイテムと洗練とは程遠いフォルムでマトモにバイクにも乗らないのにライダーを名乗っちゃう、ゴミを寄せ集めた子供の工作みたいな奴らが名乗る「仮面ライダー」が「カッコいい」の基準にならなくて良かった。
地元を離れると共にテレビのない生活をしているのでいつからそんなコンテンツに成り下がったのか知らないが、玩具の売上が芳しくなくニチアサは衰退していると聞いたので、近いうちに消えると思う。

いいなと思ったら応援しよう!