バトル・ロワイアル(映画版)
オンラインゲームでもバトルロワイヤルというジャンルは人気で、「PUBG」の登場を皮切りに、「荒野行動」「Fortnite」「APEX」……と続々と作品が現れた。
今のゲーム・エンタメを引っ張るこのバトルロワイヤルというジャンルを世間に知らしめたのは、それらのゲームが生まれるより一昔前、日本で生まれたこの「バトル・ロワイアル」の映画だろう。
映画版では殆ど明示されていないが、一応は物語の背景がある。
オトナ達の威厳が失われ、今風に言えば「イキる」学徒が幅を利かせており、改めて人生という遊びの厳しさや勝負の世界というものを知らしめるため、BR法――つまりは学生同士の殺し合い、バトルロワイヤルをさせるというものだ。
当時がどうだったのかは僕はガキの頃なのでよく知らないが、令和の今を見るとこの作品の背景はとても社会情勢に合っていると思う。
今の小学校では先生は生徒をクンとかちゃんで呼ばず、「さん」付けで呼ぶらしい。
体罰は厳格になり、授業中に寝ている生徒のアタマをちょっと教科書でバシッと叩いただけでも大問題になるだろう。
さらには勝ち負けをつけないために、運動会では紅白に組分けしないだとか、流石の僕から見ても甘やかし過ぎやしないかと思う話を噂に聞く。
そう思ってしまうことは老害なのだろうか……。
しかし、オトナの立場が窮屈になっているのは紛れもない事実で、いつか何処かで子供の横暴がまかり通ってしまうことは予想できる。
既に過去に学生運動という前例があるのだから。
もしかしたら既にそれは始まっているのかもしれない。
映像作品という面で言うと、邦画の悪いところは全面的に出てきている。
ガンアクションは大変酷く、オモチャにすら劣る。
実写版「デビルマン」にも劣らぬ――いや、この場合は「優らぬ」が正しいのか?――レベルの低さだ。
日本は銃社会ではないから、何も細部に至るまでのリアリティーは求めていないし、そも前日まではただの学生だったのだから扱い慣れていないのも良いのだが、せめて構えて撃って欲しい。
それだけでバトルロイヤルという緊迫感が出るというか、少なくともこんなギャグマンガみたいなダサくてショボいアクションにはならない。
テーマがテーマであるし、こんなお遊戯のようなアクションシーンにしてしまうのは勿体ない。
特に敵の転校生のSMGの取り扱いは最悪である。
全体の人数が多いので仕方ない部分もあるが、演技面もどこか締まらない印象があった。
しかし、北野武御大の偉大たるや、キタノが出てくるシーンだけは緊張感があり、「映画」になっている。
ラストシーンだけはウーンそれは脚本が悪いわと思ってしまう雑さがあったが、冒頭の生徒から切りつけられるシーンから明らかに醸す空気が違っていて、温度が2℃くらい低いんじゃないかと思った。
公開当時は大変な社会現象にもなったらしいが、無理もない物語だとは思う。
しかし、令和の今になっても尚この作品の鳴らす警笛は我々オトナにとって「次の世代をどう育てていくのか」を考えさせてくれる。