巷で言われ出したリーゼントやポマード、それにまつわる事柄についての誤解を解きたい
最近のバーバースタイルの髪型の流行りのせいか、ポマードがにわかに注目されていますね。
そしてソーシャルメディアの影響力は強く、あまり正確とは言えない情報でもすぐに広まってしまう。
ここでは、ネオロカビリーを愛する私が最近感じる違和感について書いてみたいと思います。
また、最近のことではないものも含みます。
多分に思い込みも入ってると思うので、お気づきの場合は指摘して欲しいです。
ポマード/グリース? 水性の物をグリースと呼ぶのではない!
もし水性のものをグリースと呼ぶのなら、1950年台の不良カルチャー「Greaser」たちは水性の整髪料をつけていたということになるが、彼らがつけていたのは油性ですし、水性は誕生していない。
要は、自動車の潤滑油のグリスってありますよね?
頭が油ぎってるからグリーサーと呼ばれ、油っぽいからグリースって呼んでるだけであって、ポマードとグリースが別物という解釈はおかしいです。
そしてこれも大事!
油性ポマードは植物性と「鉱物性」です!
動物性というのは確かに実際にあったそうですが、ポマードというものが誕生した何世紀も前の時代のものです。その当時は熊の脂などだったようです。
現代で動物性と言っている場合、それは単に鉱物性の聞き間違いです。
Nunileの缶にも鉱油と書いてあります。
「リーゼントは側頭部から後頭部への流れを指していて、前髪はポンパドールと呼ぶ」……のではない!
リーゼントで有名な人がブログに書いてたのを拝見しましたが、私もほぼ同意見です。
リーゼントは日本人の床屋さんがつけた「髪型の総称」であって、細かく言えばポンパドールやクイッフを一纏めにしたもので、髪型の一部分の名称ではないです。
いわゆる巻き込みリーゼントとか言われがちなテディボーイな髪型はクイッフです。
さらに言えばそれがあまりに長くなって鼻ぐらいまで垂れ下がったものは象の鼻”Elephant’s trunk”です。
日本ではポンパドールやクイッフなど前髪を立たせた髪型をまとめてリーゼントと名付けたんですね。
YouTubeで”Rockabilly Pomp”とかで検索すれば日本でいうリーゼントの動画とかたくさん出てきます: Pompってポンパドールの略称。
ちなみにキャロルとかの歌詞に出てくるテディボーイってイギリスのTeds/Teddy boysと全く関係ないから注意。ただの不良少年の意味で使われてますね。
日本でいうテディボーイ=Juvenile Delinquentってことかな。
ロカビリー/ロカビリアンは輪になって公園でツイストを踊る人たちではない!
このへんを語りだすと長くなるけど、仕方ない。
そもそも日本の不良少年の短ランボンタンスタイルって、1950sのアメリカのファッションが起源です。
1950年代当時は股上の深いスラックスが当たり前だったので、それに合わせるトップスは着丈がすごく短いのです。古着を見ればわかります。
それを誇張したのが80年代日本のいわゆるビーバップのヤンキースタイルです。
80年代の日本は50sファッションがブームでした。
ただし重要な点としては、本人たちがそのルーツを知らないことが多いということです。
ここで一つ関連事項として言いたいことがあります。
ロカビリー
原宿ロックンローラー
日本の多くの人はこの2つを同じものと認識している、もしくは原宿ロックンローラーのことをロカビリーと言ってしまっていると思いますがこの二つは別物です。
80年代当時に、原宿ロックンローラーという文化が発生して、ツイストやロカビリーやグリーサースタイルを混ぜこぜにした結果、世間一般の人からしたらロカビリーと原宿のローラーが判別不能になりました。
ロカビリー: 超大雑把にまとめて言えばスラッピング奏法のウッドベースが特徴で世界的に知られているジャンルの音楽、またそれを愛する人。
原宿ロックンローラー: 原宿独自の文化。ロカビリーでもロカビリー以外のオールディーズナンバーでもなんでもかんでもとにかくツイストを踊る。ブレイクダンス並みのステップも取り入れている。
きっと衝撃の事実ですが、ロカビリーイベントでツイストを踊る人はいません。
前述の誤解から日本の場合はたまにいますが、80年代の原宿ロックンローラー世代の人が大半です。
とりあえず今言いたいことは言いました。
お読みいただきありがとうございました。