物理的なオフィスが不要になる時代にどうコーポレートカルチャーを形成するか
本日(2020/04/29)の日本経済新聞に今後スタートアップがオフィスを不要とするケースが増えていくだろうという記事がありました。
おそらく今後このように大きなオフィスを構えずに運営していく企業が増えていく流れができていくと思います。
金銭面でのメリットの試算
アルバイトさんなど全て含めて50名くらいの企業のことを考えてみます。
やはり賃料が下がることのメリットはかなり大きいです。50名で一人2坪くらいと考えると大体100坪くらいのオフィスが必要だと言われています。100坪を坪単価1.5万円で借りているとすると、月150万円が削減されます。
メリットは賃料だけではなく、交通費の削減もあります。一人月額1万円の交通費を支給しているのであれば、月額50万円の削減になります。
賃料+交通費で大体月額200万の削減になり、スタートアップにとってはかなりのインパクトがある金額です。その他、水道光熱費やオフィス家具、清掃費用など考えるとこの金額に留まりません。
デメリットはないのか
当然のようにデメリットもあります。私が考える1番のデメリットは企業文化の形成が難しくなることだと思います。例えば以下のような文化・カルチャーを形成するオフィスで見られるような風景が見られなくなります。
1. 朝の挨拶ができなくなる
社員同士の朝の挨拶がなくなります。50人くらいの組織は一般的に社長が全員の名前を覚えられる限界というふうに聞いたことがありますが、リモートワークが進むと、普段社員同士が顔を合わせることがなくなり、仕事に関わりがあるにも関わらず縦のレイヤーに壁が生まれていきます。
2. 社長の働きぶりが見えなくなる
もう少し組織論的に記載すると、社長がどのような価値観を持って意思決定をしているか。社長が何を正しいとして、何を間違っているか、という判断基準が見えなくなるために、会社としての価値判断基準、いわゆるコーポレートバリューが顕在化されにくくなります。
3. 他部署メンバーの活躍がわからなくなる
営業メンバーが大きな成約をとってきた!エンジニアメンバーが速攻で新機能をリリースした!(ドラがジャーン♪)ってことがなくなります。チャットやビデオ会議ツールに依存しすぎると組織にモメンタムを生み出すようなイベントがタイムリーに伝わらなくなります。組織メンバーにとって、自分のタスクにフォーカスできる反面で組織がサイロ化しやすくなります。
1から3に共通して言えることはエドガーシャインでいうところの、組織文化における「暗黙の仮定」が共有されないのです。
暗黙の仮定が共有されないと、会社が掲げているミッション・ビジョンが薄っぺらくなる傾向があります。これがリモートワーク徹底化によるデメリットだと思います。
リモートワーク環境下においてどのようにカルチャーを形成するのか
暗黙の仮定を共有化するためには、コミュニケーションにおいて意識的にオープン性、透明性を高めていく必要があります。
例えばですが、
- メンバーが関わらない仕事の領域においても、情報がアクセスできるようにすること
- 会社の意思決定の背景を明文化し公開すること
- 失敗を共有すること。共有された失敗に対してリーダーがどのように考えているかレスポンスすること
- 新しい社員同士のつながりを称賛すること
このようなことを実行していくことでネオリモートワーク環境が実現していくのではないかと思いました。