【小説】500文字しばり/あわてんぼうの
しまった。いまさら後悔してももう遅いが。
…プレゼントを運んでいる途中、飛行機に接触してしまった。驚いたワシはソリから転落し、気を失った。目を開けるとそこは雲の上。楽園のような風景が広がっていた。
「起きましたか?」
声のする方に目をやる。そこには女神のように美しい女性。思わず口にしてしまう。
「雲の上に女神様…ここは天国かの?」
「そうです、天国です」
「えっ?マジ…?」
「マジです、どうも女神です」
この女神によるとワシはこれまで一応頑張って来たので、次に転生する世界で何になりたいか選ばせてくれるそうじゃ。
そうか、ワシは死んだのか…思い返すと散々な人生だった。クリスマスの日を間違えるのは日常茶飯事。煙突から落ちたり、トナカイ達からは"アイツ"呼ばわり。やけになって踊った。そんな夜もある。しかし…!
「ここになりたいものを記入して下さい」
子供達の笑顔はプライスレス。ワシは生まれ変わっても"サンタクロース"になりたいと心から思う…!
「…はい、承りました」
「それでは目を閉じて」
…再び目を開けたワシは、アレが夢では無かったのだと分かった。こうしてワシは異世界に転生した。
恐怖の大魔王"サタン=クロス"として。