ワクチンの効き目 4月 訂正と補足


4月28日ワクチンの効き具合を5月7日に投稿したのだけれど、「ワクチンの効き目を測定する2つの指標」という章の第2段落で、「感染係数が下の表のような国Aを考えてみる」と書いておきながら、表が挿入されていませんでした。改めて表を加えたその部分を投稿します。

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ワクチンの効き目を測定する2つの指標

新型コロナの感染の勢いが弱くなったかどうかは、ワクチン接種が始まった週から各国で「感染速度」がどのくらい減少したか、と「感染速度」が減少する期間がどのくらい続いているかで判断できる。感染速度とはその日の前1週間の1日平均の新規感染者数のことである。感染速度が高ければ、感染の勢いが強いということである。ワクチンの効果の比較をするには、国同士の感染速度の比較が必要になるが、感染速度は人口の多い国では必然的に大きくなるので、直接比較はできない。そこで、ワクチン接種を開始した週の感染速度を100とした時の、ある週の感染速度の値をその週の「感染係数」として計算する。感染係数が100未満ならば、感染の勢いが弱まったことを示す。

感染係数が低くてもそれが続いていたのでは、いつまで経っても感染が終息しない。例えば、感染係数が下の表のような国Aを考えてみる。

ワクチンの効き目 4月 訂正と補足

接種を開始した週の感染係数は100である。この国では接種開始後4週間で係数が20になり、それが4週目以降も維持されている。例えば、接種を開始した週の感染速度が1000人なら、4週目には200人にまで減少したので、感染拡大はひとまず抑えられたいってもよい。しかし、4週目以降も毎日200人づつ新規感染者が出るので、感染が終息したとは言えない。したがって、感染が終息するには、感染速度が減少するだけでなく、減少が続くことも大切である。感染速度が減少を続けていけば、いつかは0になり、感染が終息したと言える。

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また、データを解析して本文を投稿するまでに時間がかかってしまい、4月28日版と言いながら投稿したのはそれよりも1週間後の5月7日なってしいました。毎週水曜日にデータを更新しているので、5月5日分の更新分を集計しているうちに、多くの国でワクチンを新たに追加したことがわかった。

例えば、イギリスでは4月7日からモデルナが追加接種されている。イギリスは順調に感染係数を減らしていたが、3月に入って係数の減り方が低くなった。モデルナが追加された後、1週増えたものの、係数が3月の半分まで下がったので、効果があったものと思われる。

前回は接種するワクチンの種類が増えると係数が減るのではないかと仮説を立てたが、早速この仮説を検証した。そこで、感染チャートを接種するワクチンの種類の数で分類したのが次のグラフマトリックスである。上から順に1種類、2種類、3種類、4種類以上となっている。左側は、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソンの欧米系のみを接種しているところ、右側は中国、ロシア、インド製も接種しているところである。

画像2

1種類しか使っていない場合、プロットがグラフの端の方に分布する。つまり、効果はバラバラである。例えば、ファイザーはスロバキアでは効いているが、それ以外はそうでもない。同じようなことが他のワクチンにも言える。非欧米系の分布は下寄り左寄りなので、悪くはない。


2種類になった場合、欧米系は中央寄りに分布する。よく観察すると、係数の高い国は減少に転じ、係数の低い国は上昇に転じている。上昇に転じたパナマとスロベニアはここ1ヶ月ほど係数がほぼ同じ値近くで上下している。減少がストップしてしまったわけである。パナマはそれまでファイザーのみ接種していたが、4月17日からアストラゼネカも接種し始めた。これからどのように変化するのか興味深い。

非欧米系はインドとケニアを除いて中国系を接種している。分布はバラバラなものとなる。ネパール、タイでは全く効果がないように思われる。

3種類の場合、欧米系の分布は下寄り左寄りなので、悪くはない。ここではスウェーデンとデンマークはつい最近アストラゼネカの接種を中止して、2種類接種となった。しかし3種類を接種していた時期があるので、引き続きこのグループに入れておく。この2国とアイルランドでは上昇傾向である。アストラゼネカの中止の影響があったのか興味が持たれる。また、アイルランドは5月6日からジョンソンの接種を始めて4種類接種国となった。

非欧米系では係数が減少し始めた国が出てきた。係数が100未満だが6週連続上昇中のボリビアではスプートニクを接種してきたが、4月にシノファームとアストラゼネカを追加した。同じく係数上昇中のエクアドルはファザーを接種してきたが、日本などと同様に接種開始直後こそ係数が下がったが、すぐに上昇に転じてしまった。そこで、3月9日にアストラゼネカとシノバックを追加したが、これまた追加直後は減少したものの、再び増加に転じ、3週連続増加の後1週は減少したが、また4週連続で増加しているので、実質8週間増加し続けていることになる。

欧米系4種を接種している国は4月22−28頃ジョンソンを追加した。分布は左寄りで追加以前から減少傾向であった。今後どのように変化するのか興味が持たれる。一方非欧米系を含無所では、バーレーン以外で改善されている。

1種類2種類では、グラフの右上に分布する国が多いが、3種類4種類では少なくなる。ここから、接種するワクチンの種類が増えれば、感染抑制に功があると言えそうである。


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