アニメ『境界戦機』の個人的な感想 第20話…とか編①(グズグズに崩れていく世界観)

今週の境界戦機、ある意味で大きく話が動いた回であったと言ってもいいだろう。

大ユーラシア連邦、自由アジア貿易協商、オセアニア連合。北米同盟と対峙している三つの経済圏の支援を受けて新潟地域にヤタガラス中心で新しい日本人国家を成立させるという提案を受けたのだ。

これはヤタガラスにとっても簡単に答えの出せるものではない。
形骸化しているらしいものの日本政府を抱えている北米陣営から睨まれるし、他のレジスタンスとの関係や印象も悪化するかもしれない。それでも今後の日本のためにもなるということもあり代表が他のレジスタンスにも話を付けて、『日本人の保護に関する条令の文面化』という条件付きでこの提案を受けることになるのだった。

だかまぁしかし、『ひとつの国の中に大国にとって都合がいい新しい国をでっち上げる』という展開を『今のご時世』によくもやれたものだと呆れるを通り越してある意味感心してしまった。

現場レベルとはいえ日本人を蔑ろにしている描写が出ていた者達ばかりか現在進行形で他国への侵略と残虐行為に走っている国をモチーフとしている勢力を主人公らの味方、善玉に添えるとは恐れ入る。これが日本の『表現の自由』とでも言いたいのか?
肩身が狭くなるような真似すんなやバカタレ(本音)

日本人の保護云々については先ほど言った通りオセアニアと自由アジアは露骨に日本人を小突き回したり人買いに売ったりしてるのを今までの話でやっていたこともあり「今更そんなことしても意味あるのか?」と思わずにはいられない。
もっと言うなら譲渡される土地は北米陣営とモロに接してしまっていて常に攻撃を受ける危険があり今のやたらと血の気が多い北米軍であれば尚更不味いことになるのは目に見えている。

そもそもこんな提案を経済圏が言ってきたのはヤタガラスが所有するケンブなどのメイレスシリーズの性能の高さだからと言ってきており、たかだか数機のアメインで国防を担えるのは無理無理カタツムリってなもので「あぁこれ適当におだてて貧乏くじ引かせるつもりだな」と考えるのが普通だろうにヤタガラスの連中ときたらどいつもこいつも何故か乗り気で中には「自分のやってきたことが認められた」とか「これが日本人のためになるなら」とか能天気なことを口走ってる始末である。
あからさまに居抜き物件であろう本部に引きこもってろくに自分等から行動を起こさない組織の現状を少しでも客観視出来たなら、絶対に「国の統治なんてことは不可能だ」と思う人間が出てくるはずだろうにそうした気配が一切ないのは全くもってヤタガラスというのはバカの集まりなんだろうとしか思えない。
いやまぁこのアニメでバカじゃない奴の方が珍しいのだが。

話を元に戻そう。
新しい日本国家あらため『新日本協力機構』とかいう胡散臭さ全開の大手広告代理店が中抜きの為に用意したペーパーカンパニーみたいな名前した国?の立ち上げの式典に顔を出すことになったヤタガラス一行。
「ここから歴史が変わるのだ!」といつもの調子のキリュウだが他人から持ち掛けられた話に乗っただけなのにこのはしゃぎ様、つくづくこの作品が『誰かに何を与えたかよりも誰から何をもらえたかを重視する』って考えのもとで作られてるんだなと実感する。
んなもん徹底させてどうする。

そんな中でアモウはかつて東北遠征の際に刃を交えたアレクセイと面会することになる。
そこでアモウはこれからの戦いで敵の命を奪うことへの覚悟を問われるのだが、これもアモウが自分から北米軍のブランクを始末してたりしてるので「今更それを問いかけにするの?」とおかしな印象を受ける。

そんなこんなで調印式に向けて話が進む中で北米軍から色々と話をしたいので東京まで顔を出して欲しいという話が。
そしてそのメンバーに何故かアモウが指名されていたのであった。

一応事態は動いてはいるのだが展開に脈絡がなく説得力のある描写もない。
もっと言えば今まで経済圏相手に戦っていたのが何故か経済圏の連中に担ぎ上げられ下手したらスケープゴートの立場に追いやられるのを嬉々として歓迎するという異常事態である。
ひとつのお話しとして見ればそれまでの世界観が確実に崩壊してしまった回であるのだが、そもそもまともな土台としての世界観が用意されてたのかすら怪しいとも言えるので、結局は最終回を迎えないとちゃんと評価が出来ないと見るべきなのかもしれない。

ところで19話が抜けていると言われるかもしれないがあの話真面目に『別になくても問題ない』ってレベルなので取り上げないことにした。
断じて面倒くさくなったとかこの期に及んで尺稼ぎみたいなことを丸々一話使ってやったことに心底呆れてるとかではないと言いたい。

…ともあれ次回はこの『新日本』に対しての北米サイドの反応などについて話していきたいと思う。

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