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悪夢から読み解く"結婚"の危機の乗り越え方(1人目の夫と2人目の夫)

久しぶりに鮮明な悪夢を見た。

夢の中で、私は海を泳ぐ競技に参加している。
とても汚い海だ。暗いみどり色で、自分の手も見えないほど濁っている。
足はかろうじてつくが、コースは沖の方へ向かうようだ。これ以上深くなったらもう立つことはできない。

海中に得体の知れない動物がいたらどうするんだろう。サメや、クラゲや、不気味な生物が。おい運営側、その辺ちゃんとしてくれてるんだろな?そもそもゴールが見えないじゃないか。
このまま沖の方へ泳いで行って大丈夫とは思えない。これは完全に死人が出るやつだろ。危険すぎるだろ。

しかし横に並ぶ人たちは文句ひとつ言わず、じっと耳を澄ませている。
笛が鳴り、競技が始まる。泳ぐしかないのだ。

私は溺れないことに精一杯でとにかく泳いでいくのだが、途中で誰かがそばにいるのに気づく。

夫だ。隣に夫がいるのだ。

なんだ、彼も同じレースを泳いでいたのか。
でも彼も余裕がないらしく、バタバタと苦しそうにもがいている。
僅かでも助けになれればと、私は大丈夫?と近づいて声をかける。しかし彼は無言で私の体を土台のように海に沈め、自分だけ空気を吸おうと必死に顔をあげた。

私は水中に沈められながら、一瞬の出来事に混乱していた。彼の仕打ちに驚愕していた。悲しみと怒りがじわじわと込み上げてくる。

だめだ、これ死ぬ。

私は彼から離れ、1人で泳ぎ出した。

その後、なんとかして別々に陸に上がった私たちは(夫も無事泳ぎ切ったらしい)、何事もなかったかのように向かい合って話をしていた。

夫はいつもと変わらない調子で話しかけてくる。でも私はさっきのショックでまだ震えていた。自分の目の前にいる夫の顔が、誰なのかよく分からなくなってくる。

私の不安を反映するように、2人の間を流れる空気が、だんだん重く、不穏になってくる。
なんだか目の前の夫が、別の人のように見えてくる。

…あれ、この人、誰。

私はもう目を逸らすことができない。
目の前の男の顔は徐々に印象を変え、私の記憶の中のある人物と合致する。

それは元夫だった。

いつのまにか夫の顔は、元夫の顔にすり変わっていた。

私をじっと見ているその表情を、私はよく知っていた。
彼は非難しているのだ。私を。心の底から。

彼が手を伸ばしてくる。私は咄嗟に身を引くが、彼は私を見据えたまま迷いなく近づいてくる。

「どうして」

彼の瞳はそう訴えていた。

「どうして僕を不幸にしたの」

彼の手がやや乱暴に私の体に触れる。離婚前、彼が無理やり私を組み敷いていたのと同じように。

当時の私はただ耐えていた。でも夢の中の私にとって、それは絶対に耐えられないことだった。

この夢を終わらせなければ。

最後の最後だけ、明晰夢のようにこれは夢だと理解していた。
絞り出すような声で思い切り叫んで、目が覚めた。

***

私の叫び声で起こされた夫が、寝ぼけながら私の頭をさがしてぽんぽん、と撫でる。

私はまるで日本のドラマに出てくる下手くそな役者みたいに息が上がっている。
はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、、、、

「怖い夢でも見たの…?」

夫が尋ねる。私はなんと答えたらいいか迷って、「ある人が、、夢に出てきて怖かった」とだけ答えた。

私は元夫のあの表情を、きっとこの先一生忘れることはできないだろう。

私は、彼を捨てた。

***

その夢のあとはもう眠れなかったので、ベッドに乗ってきた猫を撫でていた。

夢を思い返すにつれ、
これが私にとっての“結婚”の象徴なんだろうと分析するほかなく、とても気が沈んだ。

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